お客様から、栄養に関する質問をたくさんいただきます。
その中でも、保育園での栄養給与量が基準値(目標量)より少ない!多い!どれぐらいが適切?という質問が多くあります。
まずは、栄養素の特性から分類をします。
①示された数値の信頼度には違いがある。
②活用における優先順位は栄養素間で違う。
栄養管理の上で、第一に重要なのはエネルギー。この収支のバランスを適切に保つことを最優先にします。
次に欠乏症が知られており、その回避が重要であると考える栄養素が重要です。この栄養素が優先された上で、生活習慣病の観点から評価すべき栄養素の達成率を評価します。
具体的な優先順位は
①エネルギー源となる栄養素
1 エネルギー
2 たんぱく質
3 脂質
②欠乏症が知られている栄養素
1 ビタミンA
2 ビタミンB1
3 ビタミンB2
4 ビタミンC
5 カルシウム
6 鉄
③生活習慣病予防のために基準が設けられている栄養素
7 飽和脂肪酸
8 食物繊維
9 ナトリウム
10 カリウム
これらの知識を持つと、下記のような問題を解決できます。
質問
〇食物繊維の目標量を100%にした。→材料を増やしたらエネルギーが120%になってしまった。
→エネルギーは一番優先すべき。過剰であれば、肥満につながってしまう。エネルギーを合わせた上で、食物繊維を多く含む食品選択するように心がける。
〇塩分を基準値にあわせて献立作成。→夏場、子どもたちの食欲が落ちる時期に残菜が増える。
→エネルギーを確保することが重要。子どもたちが必要なエネルギーを摂取できる量の食塩は使った方がよい。(もちろん、酸味や辛味など食欲を刺激する食品も利用して減塩を心がける。)
食物繊維、ナトリウム(食塩)の基準値は生活習慣病予防のために「めざすもの」であって必ず実現しなければならない値ではありません。
〇健康志向で肉抜き、油抜きの料理。→重量が増えて子どもたちが食べきれないので、量を減らしたところカロリーが満たせない。
→脂質は効率のよいエネルギー源。また細胞を作る必須栄養素。適度な肉料理、油を使ってエネルギーを供給することも必要。
栄養士になりたての頃は、このような栄養素の優先順位がわからず、[私の作った料理で健康を害してしまっては。]とよく思ったものです。知識が増えるとお仕事に対する不安が少し減るように感じます。