栄養不足者を減らす「分布シフト法」

集団給食における栄養量の評価

・エネルギー摂取の過不足の評価
・栄養素の摂取不足の評価
・栄養素の過剰摂取の評価

今回は栄養素の摂取不足の評価と給与量算出の方法についてとりあげます。

①栄養素の摂取不足の評価する方法は?
→栄養摂取量が食事摂取基準の推定平均必要量を下回る人の割合を算出します。全員の摂取量をはからなくてもランダムに抽出した幼児の1日の摂取量を調査すればOKです。この時に家庭の食事量は過少評価、過大評価されることを考慮する必要があります。

②栄養素の摂取不足への対応は?(食事計画)
→①の結果から、推定平均必要量を下回る人を少なくするように(2~3%以下)給与量を決定します。対象集団において、栄養素の不足者の割合を少なくするための単純な方法としては、分布シフト法を用います。この方法はベースラインとなる習慣的な摂取量の分布の形を変えることなく、不足者の割合を少なくするために必要な栄養素の増加量について、単純にシフトさせる方法です。不足者が推定平均必要量を摂取するための栄養量を増加量として、給食の給与栄養量に加えます。

分布シフト法で気をつける点は、
①エネルギーにおいては過剰者がでるので、分布シフト法は採用してはいけない。
②他の栄養量への影響などを考慮して総合的に決定する。

分布シフト法の例をあげます。
全員が普段の栄養量の1.2倍を摂取したとします。摂取量の少ない子もそれなりに摂取量が上がるので、不足者が減ることになります。

論理的には納得できますが、これを保育園で給食担当者が実施することは、時間的にもスキル的に難しい!と思われるでしょう。わんぱくランチをお使いのユーザーはご安心ください。実際にわんぱくランチで給与目標量を計算している場合は、97~98%の園児に健康リスクがない推奨量(食事摂取基準値)を目標としているので、上記のことができていると考えることができます。栄養素の摂取量については、日本の幼児を対象として厚生労働省がランダムに調査を行っており、これを基に推奨量が決定されています。

目標量算出の根拠を理解すると、食事計画の時に【充足率100%】に縛られることなく、献立を立てることができるようになります。