個々に園児の推定エネルギー必要量を算出している保育園さんから、食事提供量についての個別対応に関して質問をいただきました。
食事提供量については「エネルギー源となる炭水化物、脂質、たんぱく質」と「その他の栄養素であるビタミン、ミネラル」を別々に考える必要があります。
体重から算出する「個別推定エネルギー必要量」は、小さめのお子さんについては、値が低く、肥満のお子さんは値が高くなります。成長曲線で望ましい成長が確認できていれば、これを摂取目安量としても問題ありませんが、やせ、肥満傾向の場合は下記のような対応になります。
■やせ傾向・・より食べれるように支援し、「食事摂取基準の推定エネルギー必要量」を目安に供給。その結果、個別の体重から計算した必要量より多く提供することになります。
■肥満傾向・・食べ方を指導しながら、「食事摂取基準の推定エネルギー必要量」を目安に供給。その結果、個人の体重から計算した必要量を下回るエネルギーを提供することになります。
食事摂取基準の推定エネルギー必要量は、年齢、性別、身体活動レベルを考慮した必要量です。これは、日本子どもの体重の中央値をとっている標準的な値です。集団におけるエネルギー出納のが0(ゼロ)になる確率が最も高くなる数値であり、保育所の給食の給与目標量の基となる数値です。
今回の2010年食事摂取基準では活用の基礎理論として給食における給与エネルギー量の決定方法が記載され、その中で給食の目安量は、対象集団の特性として性、年齢、身体活動を考慮して給与目標量を設定し、その集団ごとに献立を提供することととなっています。個々の推定エネルギー量の平均値をそのまま保育園のエネルギー給与量にすることには問題があります。
幼児においては「やせ」、「肥満」の定義が明確ではないので、、給食の提供量は、食事摂取基準値を基として、成長曲線で望ましい成長を確認していくことが最も重要です。
さて、個々の食事提供量の調整の仕方としては、集団給食では、「ご飯(炭水化物)」でエネルギーの調整をするのが一般的です。ビタミン、ミネラルの供給源である副菜については量の調整をせず、提供した量を食べることができるように食事支援をします。ビタミン、ミネラルは性、年齢ごとに97~98%のお子さんに健康リスクがない量を目標量としているため、肥満でも減らすことはしません。また、エネルギー量が低いため、減量効果がありません。
幼児の場合は、保育園の給与量を決めていても、家庭での給与量のばらつきが、個人間、個人内で変動が大きく、子どもの食欲や食べ方に大きな影響を与えます。保育園では、日々の給食時間の食事支援と共に、家庭に対しての食生活指導などを行う必要があります。
保育園では
①特性の把握
②食事摂取量の評価(家庭での食べ方を含めて)
③食事計画の決定
④予定献立の作成
⑤食事摂取量の把握
⑥食事計画の見直し
(食事摂取基準を用いる基本的な考え方より)
①、②がなければ、③に含まれる栄養給与量は決められないということです。