食物繊維の目標量(食事摂取基準2010)

「食物繊維の目標値が下がったのは何故?」
「食物繊維の目標値の根拠は?」という質問をよくいただきます。

小児については食物繊維の目標量は設定されていません。

この理由は、小児期に生活習慣病の発症率と食物繊維の摂取量の関連を検討することはできないからです。食物繊維との関連がもっとも明らかなのは心筋梗塞。メタアナリシスによると、24g/日以上の摂取でリスクが低下し、12g/日未満の摂取で死亡率の上昇が確認されています。大人のように摂取不足によって生活習慣病を発症しない子どもは、目標量を決めることができません。

では小児の食物繊維の目標量は?

若年者の危険因子の存在が、中年以降の循環器疾患死亡に影響を与えていることを考慮して、成人に準じた考え方をします。

例えば、成人から1000kcalあたりで計算してみると、食物繊維の目標量は7~8gになります。わんぱくランチではこの数値を根拠として、保育所の給与エネルギーから、食物繊維の給与目標量を算出しています。

1日の推定エネルギー必要量  食物繊維目標量
3~5才男       1300Kcal              9.1g以上
3~5才女 1250Kcal              8.8g以上

2005年から2010年の食事摂取基準になって食物繊維の目標量が下がった理由については、平成17年、18年の国民栄養調査の結果が考慮されたからです。成人の摂取量の中央値は男女それぞれ、12.3から16.3g/日と11.8~16.1g/日です。現状を考慮して、目標値が少し下げられたということです。 食事摂取基準では、「現状を考慮し、科学的な根拠が十分ではないものの、今後5年間における現実可能性を考慮して設定した」と説明されています。

また、小児の目標値は2010年の食事摂取基準では、1日の推定エネルギー量が低くなったことに伴い、食物繊維の目標量も下がりました。

食物繊維につていは、目標量が下がったといっても、なかなか充足することは難しいことです。

食事摂取基準の目標量は、生活習慣病の一次予防として算定された数値です。厳しくこの目標量を守るために、「玄米」や「雑穀」など消化しにくい食品を増やすようなことは、生活習慣病予防の観点から正しいことではありません。目標量に近づけることを目指して、毎食のバランスのよい食事をとることが大切です。