調理実習(体験)における衛生管理

調理は小さい子どもたちにも体験させてあげたいこと。安全に行うために参考になる資料を紹介してください。とお客さまからご連絡をいただきました。

調理実習(体験)について留意点をまとめたものを紹介します。「児童福祉施設における食事提供ガイド」(厚生労働省)http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/03/dl/s0331-10a-011.pdf

保育園では、この内容に沿って園独自のマニュアルを作成して実施するとよいでしょう。

調理実習(体験)等における食中毒予防のための衛生管理の留意点

クッキング保育や児童養護施設等での居室等での調理等、厨房以外での調理の際には、食中毒予防のための衛生面及び安全面への十分な配慮が必要である。調理実習(体験)を実施するに当たっての一般的な留意事項は以下の通りである。

計画時の留意事項
・実施に当たっては、施設全体の職員の協力を得ることが望ましいことから、年間(月間)計画等の中で、施設全体の計画として立てることが望ましい。
・計画に当たっては、その目的を踏まえ、対象となる子どもの年齢・能力、利用可能な設備等に応じたものとする。実習可能な場所と時間の確保とあわせて、設備や職員の状況を勘案して、実習可能な人数についても配慮する。
・実習の献立については、年齢、発達段階に応じた構成とし、衛生管理の観点からも、十分な加熱を基本とし、容易に加熱できる献立とすることが望ましい。
・調理の過程での重要管理点について、取り扱いを検討し、子どもが行う作業は、子どもの年齢・能力に応じた対応をする。
・食物アレルギーのある子どもの献立についても考慮する。また、微量の摂取・接触によりアレルギー症状を起こす子どもについては、発症を防ぐため、調理実習への参加の仕方など、個々人に応じた配慮が必要である。

事前の準備の留意事項
・調理実習に関わる職員、子ども・保護者への衛生管理について以下の指導を行うことが望ましい。
 職員に対して、当日の実習内容、手順、留意点について確認
 子どもに対して、事前に衛生面での指導(手洗い指導、つめきり等)
 保護者に対して、事前の準備(爪切り、服装等)、児童の健康状態についての連絡などについての依頼
 指導にあたっては、教育用の素材として「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」、「食品をより安全にするための5つの鍵(WHO公表)」等を利用することができる。
・材料の購入の際には、生鮮食品は新鮮なものを購入し、適切な温度で保存するようにする。菜園の収穫物を使用する場合は、その安全(じゃがいもの芽や青い部分の切除、腐敗・変色部分の廃棄等)に十分注意すること。

当日の留意事項
(調理実習前)
・体調不良や、下痢をしていたり、手指に傷のあるなどの子どもの状態を確認し、参加の仕方を検討する。状況に応じては、該当する子どもの作業は控えることが望ましい。
・作業を行う場所が清潔に保たれていることを確認し、使用器具類、作業台等、食品と接触する面は洗浄、消毒を行う。
・清潔な服装でエプロン、三角巾等の着用を確認し、手洗い・消毒を実施する。この際に、手洗いを行ったかのみではなく、適切に手洗い・消毒を行えているかを確認する。
・原材料の保存食を確保すること。
(調理中)
・調理前の手洗い等のみでなく、調理中も衛生管理ができているかを確認する必要がある。子どもが汚れたものに触れた後に手洗いを適切に行えているか、食材、器具の扱いは適切かを常時確認することが必要である。
・加熱する場合には十分に行い、中心温度計で、計測、確認、記録を行う*。
* 実習に先立って、予め加熱条件(①加熱前の食材の温度、②大きさ、③加熱温度、④加熱時間など及び⑤加熱後の中心温度)を検討しておく。実習時には①から④を確実に行い、記録する。⑤中心温度の測定は、もっとも温度が上がりにくそうな部分について測定することが望ましい。
(調理後)
・調理済み食品を室温に放置しないようにし、加熱調理後はすみやかに(2時間以内)喫食することを徹底する。残食については処分する。

実習後
・調理済み品については、保存食を確保すること。
・実施した計画について、衛生面・安全面での留意点と実施の際のずれについても記録し、今後の衛生管理の留意点として更新していく。