未満児(1~2歳児)のおやつについて

こんにちは。子どもの食事研究所 所長の佐橋ゆかりです。

最近は、3歳以下の子どもを保育する園が多くなっており、子どもの食事研究所にも、いろいろな質問をいただきます。

今回は「未満児」に焦点をあてて、おやつの必要性を考えます。

■「必要な栄養量」と「胃の容量」の関係

エネルギー、たんぱく質、鉄、カルシウムの「体重1kgあたり必要量」をみると、幼児は成人の2~3倍。さらに1~2歳児は、3~5歳児よりも、たくさんのエネルギーと栄養素量を必要としています。

その一方で、体が小さい1~2歳児は、もちろん胃の容量も小さい!!

低年齢児の子どもは、たくさん食べる必要があるが、一度に食べることができる量に制限がある!ということです。

ちなみに胃の容量は、体重1kgたり30ml。(WHOガイドライン)

保育園では、子どもが一度に食べることができる量に配慮して、下記のように分割して食事を提供しています。

・1~2歳児→「午前のおやつ」「昼食」「午後おやつ」
・3~5歳児→「昼食」「午後おやつ」

子どもへの栄養補給を考える上で、「胃の大きさ」は重要なポイントです。

■以上児と未満児の食事量について

胃の容量を、体重1kgあたり30mlとして計算すると、

1~2歳児の胃の容量は345ml (体重11.5kg)
3~5歳児の胃の容量は495ml (体重16.5kg)

未満児の胃の容量は、以上児の7割程度ということがわかります。

495ml×70%=346ml

多くの保育園が、これを根拠に食事の計画、提供を行っています。

給食管理ソフト「わんぱくランチ」で提供している月間献立、またソフトに収載されている料理も、子どもの胃の容量を考慮して、以上児分量を100%として、未満児分量が70%となっています。

■午前のおやつの必要性

一般的に、保育園では、就寝時間が早い未満時に対しては、1日のエネルギー・栄養必要量の50%を、以上児は1日の45%程度を提供しています。

保育園におけるエネルギー必要量は、

未満児(男)1日950 Kcal×50%=475 Kcal
以上児(男)1日1300 Kcal×45%=585 Kcal

未満児は、以上児の7割の量しか食べることができない!という制限があるので、

未満児が「昼食と午後おやつ」から摂取できるカロリーは、

585 Kcal×70%=410 Kcal

未満児の保育園での必要量は475Kcalなので、65Kcalが不足することになります。

・未満児の必要エネルギー(A) 475Kcal
・以上児の7割量食べた時のエネルギー(B) 410 Kcal
・不足するエネルギー(A-B) 65Kcal

もちろん、不足するのは、エネルギーだけではありません。子どもの成長に必要なたんぱく質、鉄分、カルシウムも、体が小さい程、体重1kgあたりの必要量が多いので、これについても不足します。

それを補うために、未満児は、「午前のおやつ」と形で、以上児よりも1回多く保育園で食事を摂ります。

子どもの食事研究所には、「午前のおやつを出さないといけませんか?」という質問を度々頂きますが、これが未満児に午前のおやつが必要な理由です。

■午前のおやつに適切なもの

午前のおやつの条件は、

・必要なエネルギー、たんぱく質、鉄、カルシウムを補うことができる
・胃内停滞時間が短い

そこで、一般的に保育園で提供されているのが、

・牛乳
・豆乳
・ヨーグルト

これらは、栄養密度が高い食品です。

上記に、塩味のない「せんべい」を追加したり、ヨーグルトに果物を加えたりして、おおよそ100g程度で、必要なエネルギーと栄養素を補っています。

子どもの食事研究所では、「午前のおやつと昼食の時間が近くて、昼食の摂食量に影響がある!」といった質問を頂いた場合は、消化の時間がかかる「脂肪」の含有量が少ない製品(例低脂肪乳)を選ぶことをおすすめしています。

普通牛乳100gの胃内停滞時間は、1時間~1時間30分程度と言われていますが、脂肪分が少なければ胃内停滞時間が短くなります。

■さいごに

子どもの食事研究所では、今年開催するセミナーで「保育園のおやつアンケート」を実施します。

みなさんからも、他園では、どんなおやつが提供されているかを知りたい!というお声を頂いています。

おやつに使用する食品の頻度について質問し、研究所では砂糖の使用との関連性について考察したいと思います。

セミナーにご参加いただく方は、総勢600名ほど。保育園の現状を把握した上で、みなさんと一緒に保育園給食のあるべき姿、補食である「おやつ」の内容について考えていきたいと思っています。