セミナー【保育園給食と子どもの栄養】2017/12/13

こんにちは。子どもの食事研究所 所長の佐橋です。

先日、岐阜県保健所主催の児童福祉施設栄養管理研修会でお話させていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

私からは、「保育園給食と子どもの栄養」というテーマでお話しました。

内容は

・食事摂取基準を活用したPDCAサイクルについて

・保育園の給与栄養目標量の作成について

・適切な栄養素量を含む献立作成について

 

保育園給食のガイドラインとなるものは「日本人の食事摂取基準」。日本で唯一の栄養業務における包括的なガイドラインです。

今回は、この食事摂取基準値を活用する上で、各栄養素及び指標の特徴を充分に理解する必要があることをお伝えするために、クイズ形式で進めました。

 

問題は、

・許容上限量があるビタミンAはとり過ぎに注意し充足率100%を目指すのがよい。〇又は×?

・食塩の摂取量は何グラムが適正?

・カルシウムはたくさん摂取した方が良い。〇又は×?

等々。

 

■許容上限量があるビタミンAはとり過ぎに注意し充足率100%を目指すのがよい。〇又は×?

答えは×です。

過剰摂取による健康障害が報告されているのは、サプリメントあるいは大量のレバー摂取によるものだけです。

にんじんなどのβーカロテンの過剰摂取による健康障害は確認されていないので、上限許容量にカロテノイドは含まれていません。

つまり、保育園ではビミタンAについては過剰摂取を気にする必要はないといことです。

「充足率150%になってしまったけど大丈夫?」という質問を度々いただきますが、給与量が目標量を大きく上回っても問題はありません。

 

■食塩の摂取量は何グラムが適正?

答えは、なんとわずか0.2g~0.5g。

食塩の摂取量の目標量は、3~5歳児(男)で4.0g/日未満となっています。

食塩は高血圧症の原因となるため、乳幼児期から薄味でおいしく食べることができる食習慣をみにつけることが重要です。極端なことを言えば、味をつけずにおいしく食べることができればそれが一番健康的!ということですね。

 

■カルシウムはたくさん摂取した方が良い。〇又は×?

答えは×です。

カルシウムの摂取量と骨量、骨密度、骨折との関係を検討した研究では、多くの研究で優位な関連が認められる一方で、その結果は必ずしも一致しているわけではありません。

カルシウムを含む食品を摂れば、摂るほど良い!という事はできません。

カルシウムを多く含む牛乳を飲み過ぎれば、飽和脂肪酸をとり過ぎてしまいます。

しらす干しを食べ過ぎれば、食塩摂取量が多くなってしまいます。

いろいろな食品をバランスよく摂る中で、カルシウムを適切に摂取することが望まれます。

保育園では、各栄養素が充足している!不足している!と言いますが、それぞれの栄養素にはこのように特徴があります。

科学的根拠に基づいた給食管理を実施するために、「食事摂取基準」を深く理解することが必要があることを理解いただけたと思います。

 

その他には、給食管理をPDCAサイクルで実施する上で、その前に子どもの実態を知ることの大切さ。給食実施後の評価方法などを具体的にお伝えしました。そして監査などで求められる帳票については、“健康な給食”を提供するために必要な記録であることをわんぱくランチを使ってご覧いただきました。

今回のセミナーでは、PDCAサイクルの実施方法を具体的に学んでいただけたと思います。

 

既にわんぱくランチをご利用の方からも具体的な質問を頂き、とても有意義な時間となりました。

 

現場の先生にお会いして、とても大きな力を頂きました!子どもたちは食べる体験からしか“正しい嗜好と食習慣”を身につけることができません。子どもの食事研究所では、現場の先生方と同じ気持ちを持って、子どもの健康増進のために健康なレシピ開発に励んでいきたいと思います。