子どもの食事研究所 佐橋ゆかりです。
以前、大学病院のアレルギー科で栄養指導をしていた時。
突然に症状が悪化して、
来院、入院というケースが度々ありました。
その原因が、、
「保育園のお友達の行動が原因」
というケースも・・・。
えっ!まさかっ!
という事が起こっています。
保育園での
「ヒヤリ・ハット事例」
を取り上げます。
■ヒヤリ・ハット事例
<1つめのケース>
食後に子ども同士がぶつかったら、、、
牛乳アレルギーの子の顔が、みるみる腫れてしまった!とのこと。
原因は、ぶつかった相手の子どもの口についていた牛乳でした。
瞬間、触れただけなのに・・。
<2つめのケース>
クリームシチューの日、
子ども通しがふざけて、スプーンが遠くに飛んでしまったら、、、、
離れて座っていた牛乳アレルギーの子の唇が青くなった!とのこと。
原因はスプーンが飛んだ際に、乳を含むクリームシチューが飛び散ってしまったようです。
乳が、皮膚についたのか、お皿の中に入ってしまったのかはわかっていません。
保育園では、原因はわからないけれど、
「アレルギー児さんの皮膚や口まわりが、食後に赤くなる」
ということがよくあります。
<3つ目のケース>
そっくりに作られた代替食を食べたら、、、、
卵アレルギーの子が呼吸困難で救急車で運ばれた!とのこと。
原因は、隣のお友達が、悪気なく自分の料理とアレルギー対応食をすり替えてしまったそうです。
見た目が全く同じだったので、保育士さんは気付くことができませんでした。
私が、自治体の栄養士として保育園を巡回していたときも、
必ず、嫌いなものを近くの子のお皿に入れる子がいました。
とっても危ないことですよね。
■保育園での対策
食材調達から配膳まで・・・
給食担当者が、アレルゲンを含まない安全な給食を届けても、
保育室で、アレルギー事故は起こってしまいます。
その対策は、、、、
・座る場所の工夫
・配膳のタイミングを工夫
・食器を変える
・食後の手洗い、口洗いの徹底
・食後の清掃の徹底
・子ども食事マナーの向上
・食物アレルギーの知識の普及
等、いろいろ・・。
しかし、これは万全の対策ではありません。
低年齢のお子さんが集団で生活している保育園では、完全に防ぐことができません。
この問題の打開策として、最近注目されているのは、、、、
「アレルギーフリー給食」
アレルゲンを使用しない、みんな一緒に食べることができる給食です。
その内容は、
★乳を使うのは、おやつの牛乳だけ
★卵を基本的に使わない
★園児のアレルゲンを考慮して献立作成
これにより、料理の誤食リスクを大きく下げることができます。
乳についても、使用回数が減る事により、全ての場面においてリスクが下がります。
それに伴い、、子ども同士の関わりから生まれる事故も防ぐことができます。
保育園での、ヒヤリ・ハット事例を知れば知るほど、、、
「アレルギーフリー給食」の必要性を感じます。
安全なアレルギー対策のカギを握っているは給食担当者!!!
責任重大ですね。
子どもの食事研究所にも、たくさんの声が届いています。
・乳、卵、小麦を使わないおやつをおしえてほしい
・行事食を考えてほしい。
・給食用の栄養価の高い食品を教えてほしい。
など・・・。
多くの保育園の悩みは同じです。
アレルギーは重大な事故に至らなければ、
「ああよかった」と直ぐに忘れがちになってしまうものです。
しかし、重大な事故が発生した際には、その前に多くのヒヤリ・ハットが潜んでいる可能性があり、多くの事例を知っている事で、重大な事故を予防することができます。
みんなで、知識を深めながら、安全な給食を作っていきたいですね。
■こどもの食事研究所のアレルギー対応デザート
わんぱくランチでは、保育園の3大アレルゲンを使用しない料理の開発をしています。
その中から、「おいしかったよ!」と保育園の調理担当の先生からお電話をいただいた料理を紹介します。
フルーツのクリーム和え
豆乳 30g
砂糖 3g
米粉 3g
バナナ 20g
パイン缶 20g
みかん缶 20g
キウイフルーツ 10g
1 フルーツは食べやすい大きさに切っておく。特にパインは細かく切るとよい。
2 豆乳、砂糖、米粉をよく混ぜてから火にかけ、混ぜながら加熱する。
3 2を急冷し、よく混ぜてからフルーツと和える。みかんは潰すように混ぜるとよい。
ポイントは、豆乳のくさみを消すことができるパイン缶を細かく切る事。
米粉のポタッとした舌触りは、一口目は「あれ?」となりますが、フルーツの甘みで子どもたちはおいしく食べてくれます。
*子どもの食事研究所では、日本製粉の米粉を使用しました。
(2020年5月更新)