栄養摂取に寄与する食品・・ あれっ?を体験

国立健康・栄養研究所のHPに栄養データベースがあります。このシステムでは各栄養素がどのような食品から摂取されているか(栄養摂取の寄与率)を調べることができます。

「たんぱく質の供給源は?」と聞かれたら、私は「肉、魚、卵、牛乳」と答えます。しかし、実際の寄与率を調べてみると、米が10.3%に達しています。豚肉が5.5%、牛肉が5.2%ですから食品成分とは違い、実際にはお米がたんぱく質供給食品として、重要な役割を果たしていることがわかります。

カルシウムでは、牛乳が38.6%で圧倒的な供給源で第2位は豆腐です。小魚がよい。と言われていますが、実際の寄与率は2.7%です。

まだまだおもしろいデータがあります。 鉄の寄与率を食品ごとに見てみると卵が7.4%、パンが7%でほうれん草の6.8%を上回っています。なんとお米も6.4%で牛肉の4.7%を上回っているのが意外です。

これらの寄与率は、平凡で、伝統的な食事が、質素でもバランスよく栄養をとることができることを示唆していると思います。もっとも、食事摂取基準そのものが、日本人の平均的な食事から算出されているものなので、平凡な食品がどの栄養素にも高く寄与することは数学的にみれば当たり前のことかもしれません。

しかし、その平凡さがだんだん薄れてきていることが気になります。食事調査をしたとき、1日1回も米を食べない子どもがいることに何度か驚きました。

子どもたちに、保育園給食を通して伝統的で平凡な食事を食べる食習慣を身につけて欲しいと思います。

私たち栄養士の頭の中には食品成分表が刻み込まれているので、ついつい栄養含有量の高い食品を、とても重要な食品のように保護者に伝えてしまいます。時にはこのような寄与率に目を向けて、日本人の伝統的な平凡な食生活の重要性を再認識したいものです。