小児には食物繊維摂取基準値がないので、保育園の栄養士さんは「どれくらい摂取すべき?」と迷ってしまうようです。
食物繊維摂取に期待する健康影響が、排便促進作用を除けば、耐糖能改善作用や血清コレステロール低下作用など、いわゆる生活習慣病であり、成人において問題となるものなので、小児には基準値が算定されていません。
しかし、摂取目安量を目指して積極的に摂取することが望ましいことは、成人と変わりません。
では、どれぐらい摂取すればよいのでしょうか?
成人の場合は、下記の2点を根拠として、1000kcalあたりの摂取量をほぼ10gとして、この値に推定エネルギー必要量をかけて目標量としています。
1 欧米において24g/日以上の摂取で心筋梗塞のリスクの低下が観察されること。
2 日本1日の排便に必要な便湿重量は150g程度であり、この排便を促進する糞便重量を指標とした場合の食物繊維摂取量が1日20~25g以上であること。
幼児の場合もこれを根拠とし、3~5歳(男)の場合は、エネルギー必要量が1400kcalなので、1日あたり14gを目標とすることが妥当だと思われます。
日本人の1日の平均食物繊維摂取量は1950年代では20gを超えていたましたが、現在まで激減して1990年以降の平均摂取量は15~16gと推定されています。女子大生を対象とした調査では11~13gの摂取が確認されており、年齢の低い人ほど摂取量が少ないことが心配されています。
食物繊維をたくさん摂取するためには、平凡な食事をとることが一番!
厚生労働省の「食事摂取基準を考慮した保育所給食栄養給与目標の算定」では食物繊維に対しての記述はありませんが、望ましい食習慣を形成するために、保育園では、食物繊維を考慮した献立作成をする必要があるでしょう。