以下のような考え方が示されたことで、昨年度、保育園の栄養士さんはたいへん混乱しました。
・昼食は1日全体の3分の1を目安とする。(33%)
・おやつは1日全体の10~20%の程度の量を目安とする。
この「指導」をそのまま鵜呑みにして昼に提供する給与目標量を算出したのです。
昼の目標量
=1400kcal ×(33%+15%)
=1400Kcal×48%
=672kcal
この考え方で目標量を算出すると、以前の目標量に比べて確実に高くなってしまいます。
当然、「残菜が増えてしまった!」という保育園さんが続出してしまいました。
よくよく考えてみれば、朝昼夜で100%なのに、その上おやつ15%を加えたら115%になるはず。
昼が多くなりすぎるのは当たり前です。
ここで問題なのは、園児の生活状況の傾向が無視されて、昼食とおやつのを別々に考えて割合をたしていることです。昼食を「1日の3分の1の割合」という考え方は、一般的(成人)ではOK。でも幼児においてはこんなことをするのは明らかに間違いです。
そもそも、幼児になぜおやつを出す必要があるのでしょうか?ここから考えてみましょう。
幼児期ではまだ消化吸収機能が未熟で、朝、昼、夜の1回の食事では「1日の3分の1の量」が食べられないからおやつで補う必要があるのです・・。つまり、幼児にとってはおやつは「食事の一部」なのです。
1回の提供分量を減らし、そのかわり、回数を増やして与えるべきということで、保育所給食でおやつが提供されていることを忘れてはいけません。
幼児期は身体の大きさの割にはたくさんのエネルギーを必要としています。
しかし、成人に比べると1回の食事で摂取できる量は少量です。
このために3回の食事で摂取できない栄養素を補給する意味でおやつを与えます。
保育所給食においては、未満児は10時と15時に、以上児は15時におやつを与えます。
●「昼食とおやつ」のエネルギー給与目標量は以下の順で考えていきます。
1 園児の性別、年齢、発育、栄養状態を考慮して、1日の推定エネルギー必要量を算出する。
計算のための例 1400kcal
2 園児の生活状態(特に保育時間)の傾向を把握して、1日全体の必要エネルギーの内、どれくらいの割合を保育園で提供すべきかを決める。 (昼食とおやつの占める割合)
計算のための例 1日全体の40%
3 1の推定エネルギー必要量に2で決めた割合をかけた数値を保育所給食におけるエネルギー給与目標量とする。
計算のための例 1400kcal × 40% = 560kcal
現在の提供量で、子どもたちが順調に成長発達しているのであれば、新食事摂取基準になったからということで1日全体の食事に占める保育園での提供割合を変えることはありません。 (順調な成長発達は身長と体重を成長曲線と照らし合わせることで確認できます。)
●何を根拠に給与目標量割合を設定するのか?
これからは、子どもの、「身体発育状況」や「家庭の生活状況」を観察しながら、給与目標量を見直すことが必要です。
今後は早朝、夜間保育を必要とする子どもが増えてくるでしょう。この場合は、生活状況が違う集団として、別に給与栄養目標量を持つ必要があります。将来的には1日の必要量を100%保育園で摂取する子どもがでてくるかもしれません。
基本的には性、年齢、生活状況を考慮した上で、健康状態が良好な子どもについてのみ集団と考えて、保育所給食栄養給与目標量を設定します。
わんぱくランチには、「性別、年齢、人数からの簡単目標量設定」、「園児の現体重からのエネルギー必要量の設定」、「1日に占める給与割合設定」などが簡単にできる機能があります。複数集団の管理もできるので、保育園栄養士さんの強い見方になると思います。
給与栄養目標量についての質問、ソフトの操作方法についての質問等お待ちしています。食事摂取基準については、アドム機関誌「わんぱっくん」でも以前に詳しい説明をしています。一度、監査の前に読み直して見てください。