地産地消給食の食育効果?

食育活動として、各地で地産地消給食が実施されています。

さて、その効果は?

ある小学校では、地産地消給食の日は、農家の方を招いて話を聞き、一緒に給食を食べているそうです。目的は、農業への理解や食べ物への感謝の気持ちを育てるためです。しかし、子どもは、農家の方と一緒に給食を食べ、「いつもありがとうございます。」「農業の大変さに驚きました。」と言いながら、嫌いなものは残し、残飯として廃棄してしまうそうです。

これは、「知識の獲得は、食行動変容に対して即効性が低い。」ことを示しているような気がします。

別の小学校の地産地消給食で、「クスッ!!」と笑え、「ほうほう。」と納得できる話があります。

この小学校では、3クラス同時に農家の方を招いて食育の授業が行われました。この授業後の給食は、地産食材である野菜と大豆を使ったシンプルな料理。人気ワースト1の料理です。

ここでびっくりすることが起こりました。いつもお残しが一番多いクラスが、「残菜ゼロ!」。他のクラスに比べて驚くべき食べっぷりでした。これには若い担任の先生も、給食室の先生もびっくりしました。

しかし、ベテランの先生は、子どもたちが食べ始める前から「このクラスは今日は食べるだろうね!」と言いきっていました。

何故でしょう?農家の方のお話に影響をうけたのでしょうか?

いえいえ。話はもっと単純です。実は、このクラスだけ農家の方の話が延長し、給食がいつもより20分以上遅くなってしまったのです。加えて、その日はマラソン大会の予備練習で普段より活動量が多く、子どもたちのお腹が「極端にすいていた!」というわけです。話を聞いている最中、隣の教室からはさぞかし「いいにおい。」がしていたことでしょう。

ベテランの先生は、子どもたちにとっては「食育」よりも、「はらぺこ・おあずけ」の方が、食べる行動に結びつくことを確信していました。教師生活20年、常に残菜が少なく、給食指導が上手なことで有名な先生です。

地産地消給食には、農業への理解、正しい食選択行動、安全な食材の需要供給バランス、日本の食糧自給率の向上など、とても大きな期待が込められています。国民が、日本の農業に関心を持つことはとても重要だと思います。しかし、食べることは日常生活の一部です。まずは、おいしく、たのしく食べることができる環境、給食を提供することが、子どもの行動を変える即効性のある食育のような気がします。