噛まない要因

摂食機能を獲得するためには、器官の発達にあわせて食べる練習をすることが必要です。

先日のブログでは、捕食→咀嚼→嚥下の評価のポイントを記載しました。

今回は、具体的に「子どもが噛まない要因」と「対応策」を考えてみます。

1、機能的要因で噛まない
機能的な発達が未熟な場合、前歯による「かじり取り」が下手で、自分に合った適切な一口量を口の中に運べないことがあります。この場合、口の中に食物が入りすぎているいるため噛むことができません。また、口の奥に取り込み過ぎて、そのまま丸呑みしてしまう子どももいます。

→まずは一口量を前歯でかじりとらせることと、唇が閉鎖してからスプーンや箸を抜くことを指導しましょう。

2、形態的要因で噛まない
むし歯による痛みで噛めないこともよく見られます。

→早急に受診を進めて、原因の除去をします。

3、生活習慣的要因で噛まない
食事時間、睡眠時間、遊びの点で問題がある場合も「食べる気がなく、かまない。」ということにつながります。例えば、口に食べ物を詰め込んでそれ以上かまない場合、空腹でないことが原因であることがあります。あまりお腹がすいていないから積極的に食べようとしないというわけです。眠くて食べられない。テレビに気をとられてかまないこともあります。

→保育園では、活動的な生活ができるよう誘導し、保護者との連携で生活習慣の改善に努めましょう。
子どもたちを観察していると、興味深い行動をします。

例えば、嫌いなものを飲み込めなかったり、嫌いなものを丸呑みしていたり、好きな果物の最後の1個を長い時間口に含んでいたり、口に入れたままうとうとしていたり・・・・。これらは全て一時的なことなので全く心配することはないでしょう。

また、保育士さんが「しっかりカミカミね!」と言うと、ほとんどの子どもは急に歯をカチカチ鳴らして極端に縦に大きく噛むふりをします。大人が噛む動作を大げさにモデリングしたものを子どもが模倣したものです。これは実際の噛む時の口の動きとは全く違うので、全く効果は期待できません。噛むという行為はとても巧緻性の高いものなでの、モデリングによる学習は不可能と言われています。学習するには、適切な量を食べることを繰り返すしかありません。

子どもには「カミカミ」を教えるより、自分に合った量を口に入れることを指導することが重要です。
「口の中いっぱいに詰め込む」ことを一度試してみてください。驚くほど噛むことができず、思いきって飲み込むしかない状況になります。びっくりする程苦しいですよ。