栄養士の好き嫌い

栄養士として働き始めて17年、自分が一番「はずかしかった!」と感じていることです。

それは、栄養士として就職した職場で、1年間1度もトマトを生で使う料理をださなかったことです。トマトの付け合せもなければ、トマトのサラダもだしませんでした。ださなかったというより献立を立てるときに「トマト」が思い浮びませんでした。

ある日の給食会議でのやりとりです。

指導員
「今日の料理はおいしくなかった。自分は嫌いだ。利用者も好まないと思う。」


「残菜は少なかったので、みなんさんに食べていただけたと思う。自分の好き嫌いでなく利用者の食べ具合を見て給食に意見をしてほしい。」 (言葉は違うかもしれませんがこんな内容でした。)

指導員
「では、栄養士さんも自分の好き嫌いで献立を立てないでほしい。トマトも好きな人がいますから・・。」

それまでにも、栄養士さんはトマトが嫌い?と聞かれたことがありましたが、自分がトマトを使ってないことには全く気がつきませんでした。

この頃の私は、知識も経験もないのに、「一人前の栄養士」としてがんばらなくっちゃ・・。と思っていたので、このときは本当に恥かしくショックでした。

トマトが嫌いで食べることができない。というわけではないのですが、確かに好んで食べる方ではありませんでした。

給食献立には、必ず献立をたてる人の嗜好が強く反映されます。自信を持って「おいしい」と思える料理をだしたいからです。
ある程度の偏りを修正する方法には

1  旬の食材(魚と野菜)は必ず使う
2  食材は1週間サイクルで使い確認する。
3  料理の種類よる食材の重なりを防ぐためにPFC比を確認する
P・・・たんぱく質エネルギー比
F・・・脂肪エネルギー比
C・・・炭水化物エネルギー比
もちろん、それぞれの食材には栄養的な特徴があるので、毎日栄養価を確認することで献立の偏りを発見することができます。

栄養士さんにも苦手な食材があってあたりまえです。でも好き嫌いがない方がやっぱり献立は立てやすいですね。私はラッキーなことに主人が「トマト好き」なので、結婚して自然にトマトのレパートリーが増えました。

子どもの栄養8月号では、トマト料理を紹介します。苦手たっだ「トマト」をテーマにして料理が紹介できるなんて、栄養士として少し成長できたなー。と少しうれしく思っています。

「1年間トマトをださなかったこと」は一生忘れることのできない苦い思い出です。