「食育」が注目されるようになってから、一流の料理人たちが子どもの食事に関してコメントするようになりました。
野崎洋光 (分とく山 )
三國清三(ホテル・ドゥ・ミクニ)
音羽和紀(オーベルジュ)
「子どもに食べさせたい料理」のコメントの中で共通するところは、
①だしや調味料に頼らず素材のうまみを引き出した料理
②素材の質や鮮度へのこだわり
③調理法を生かした料理
食材にこだわり、その食材の良さを調理法で引きだすことによって、子どもたちに「おいしい出会い」を体験させたい。とのことです。料理人たちが提案する料理はシンプルで簡単なものです。しかし、集団給食では「食材にこだわる」ことは案外難しいものです。
①配達をしてくれる小さな小売店から食材を購入。
→前日入荷し仕分けされるため、鮮度などの品質にこだわれない。
②給食予算に制限がある。
→時期によっては野菜、魚などが高値になることがある。
採れたてのみずみずしい野菜、新鮮な魚を食べていれば、野菜嫌いや魚嫌いは半減するはず・・。しかし、現状では食材にこだわることが難しいので「だし・調味料」に頼った料理が多くなりがちです。一流の調理人さんたちのコメントは耳が痛い!感じです。
最近ではとことん食材にこだわる保育園さんもあります。
①給食担当者が買い物にでかけて、翌日使用する食材を吟味して購入。
②地域の農家で採れたものを購入。
③園で栽培。
給食管理の概念からすると、食材が計画通りに安定して入手できるのか?栄養計画は?食材の保管は?など気になってしまいます。
これらの保育園さんでは「食材にこだわった給食」を実現するために、園の方針を明確にし、目的をはっきりさせて保護者や地域の方の理解と協力を得ているそうです。「栄養にこだわった給食」より、子どもたちは「しっかり!おいしく!」食べることができているようです。神奈川県で駅前保育を行う園さんでは、保護者からの「協力金」で新鮮な食材を購入する計画があるそうです。
私たち栄養士が献立・調理を行うときは、おいしさ、安全性、価格のバランスを常に考えていますが、時にはおいしさを優先させたいと思うことがあります。
保育園職員(園長、保育士、調理担当者)の間で「子どもに食べさせたい料理」というテーマで話し合いをしてみるのはいかがでしょうか?「園のこだわり」が、給食の質を高め、子どもの食体験を広げることに通じるかもしれません。