大量調理の特徴

保育園で行う大量調理は、調理操作が少量調理(家庭料理)の場合とは異なります。

栄養士として施設に勤め始めたころは、ついつい家庭でも大量の場合と同じ調理をして、「何しているの?」と母親に驚かれました。例えば青菜のお浸し。家庭ではゆでた後で切るのがあたりまえですが、集団給食ではゆでる前に切ります。衛生管理上、最終加熱の後は包丁を入れません。

大量調理では、調理後の品質保持、衛生上の配慮、安全確保が重要です。

集団調理の特徴、考慮する点は

●炒め物
→食品からの放水で蒸し焼き状態になりやすい。一度に炒める量や使用する調味液の量を加減したり、材料を下ゆでしたりして、強火で短時間で調理できるよう工夫する。

それでも炒め物は難しい場合があります。以前1人で100人分の焼きそばを作ろうと思った時のことです。時間の制約と回転釜の小ささが影響してどうしても「ベトベト」な出来上がりに・・。「焼きそば」はやめて「あんかけそば」にしてみたら職員にも子どもにも大好評でした。集団の場合、野菜炒めより八宝菜風の方がおいしかったりもしますよね。同じ材料で別のお料理にした方がよいこともあります。

●焼き物(オーブン)
→火力の調節と温度管理が難しい。大量に材料を入れることにより庫内温度が下がり、加熱時間が長くため、食品が乾燥してしまう。食品に霧をかける、焼き汁をかけるなどの工夫をする。

●揚げ物
→油の量、火力に応じて1回に揚げる量を決め、揚げ温度を均一にすることが大切。

●汁物
→出来上がり量を一定にするために、具の量による容量の増加と加熱中の蒸発を考慮。具の量が多いほど汁の塩分が具に浸透するので、調味料を入れてから食べるまでの時間を具の量と種類によって調整する。

●煮物
余熱を考慮して加熱時間を短縮して煮くずれを防止する。加熱による温度上昇がゆるやかなため、水っぽくなることがある。料理ごとに適切な水分(だし汁)、調味液の分量を決める必要がある。

●和え物
→材料と調味料の調和が大切。集団の場合は量が多いので、食材から水分が出やすいこと。食べるまでに時間が長いことを考慮する。煮浸し風にしたり、材料を下煮したものを和えたりする工夫も必要。

結構、大量調理ならではの注意点、工夫があります。

施設にいた時に、料理好きの主婦の方が、「集団調理は工場の流れ作業のようで嫌だ!」と言ってやめてしまったことがありました。一見、食材を雑に扱っているようですが、これは大量調理の技術です。決められた喫食時間に向けて衛生面を考慮しながら「均一なおいしさ」のために最善の調理を行います。

現在は栄養士として現場で働いていませんが、今でもこの経験が役立つことがあります。

我が家では、子どもの友達が40人程集まって「クリスマス会」を行います。小学校高学年の男の子たちなので、食材は大量に必要です。こんな日は、「給食での行事食作りのようなもの」と思い、集団給食の経験を活かして、お料理作りを楽しんでいます。衛生管理もばっちりです。

保育園さんでも大量の食材を効率よく「おいしい料理」に仕上げるために、多くの工夫をされていると思います。大量調理のアイデアを聞かせていただけるとうれしいです。