子どもの「数の認識」

子どもが苦手なものを食べたがらないとき、保育士さんは料理のつまり具合(見かけ)を調整して食べることができるように支援することがあります。

例えば、
・広がっているものを寄せて(つまり具合を調整)から、食べるように促す。
・お皿にのっているコロコロの煮物をスプーンにまとめてのせてから、食べるように促す。

つまり、少なく見せて食べる意欲を持たせているのです。

これは、スイスの発達心理学者ジャン・ピアジェが行った保存(見かけが変わっても対象の数や量は変わらないという認識)の実験による数(個数に)の保存概念を応用しているようです。

●数(個数)の保存概念

①こどもに大人の真似をさせて米粒で写し列を作らせる。
A ● ● ● ●→大人(手本)
B ● ● ● ●→子どもが真似をして作った

AとBとどちらが多い?という質問に対して
幼児は「同じ」と答える。

②大人が手本の米粒の間を詰める
A  ● ● ● ●
B ● ● ● ●

AとBとどちらが多い?という質問に対して
幼児は「B」と答える。

子どもはこのように、視覚的認識でものの多少を判断しており, “一対一対応”のような, 頭の中での操作を要求する認識はまだ十分確立していません。

7歳~12歳になると数や量の保存概念(見かけが変わっても対象の数や量は変わらないという認識)が成立します。

このような理由で、保育園児の場合、見かけが小さくまとまると、少なく感じるのです。

実際の食事指導場面では行ってきたことですが、論理的に理解することで、応用範囲が広がります。

学問の世界では、応用は「過大解釈」としてやってはいけないことですが、現場で試すのは問題ないでしょう。保育士さんからの「子どもの好きなものが少なく!嫌いなものが多い!」というクレームを解決できるかもしれません。見かけ上のことですが・・。

次回は、ピアジェが行った保存(見かけが変わっても対象の数や量は変わらないという認識)の実験による「量の概念」をお伝えします。