新米の思い出

つやつやとふっくら炊きあがった新米はそれだけでご馳走。子どもたちの食欲は、新米が出始めると、急にアップします。

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晩夏から秋にかけて収穫される新米には思い出があります。

老人ホームで働いていた時のことです。

新米を最初に提供する時は、数日前から入所者にお知らせして、「新米を食べよう!」という収穫を祝う食事にしていました。

献立は、農家の人がテレビでコメントしていた「ご飯だけ食べた方が新米のおいしさがわかる!」をヒントに

・新米ごはん
・とん汁
・漬物のバイキング
・煮豆

だけのシンプルな献立。お米の炊き上げ時間、配膳方法など、ご飯をおいしく食べていただくことにはこだわりました。

この行事食は自分が思っていた以上に、お年寄りに喜ばれました。

多くのお年寄りは「おいしい!」という言葉より「ありがたい!」「ありがたい!」と、繰り返し言いました。涙を浮かべながら食べる人もいました。家族との食卓での思いでを話し始める人もいました。戦後、はじめて炊きたてのおいしい白米をお腹いっぱいに食べることができた時の喜びを語る人もいました。

「生きていて良かった。」とおしゃっる人もいました。
「ここに帰って来て、また、おいしい新米と漬物が食べたい。」と言いながら入院した方もいました。(そのまま亡くなってしまいましたが・・。)

他の行事食の時にはない穏やかな雰囲気の食事時間でした。お年寄りの方々が、お米を噛みしめるように食べる姿が印象的でした。

上手に表現できませんが、食べることの喜び。食べることができる価値。食べることを通しての人との関わり。食べることと生きることのつながり。そこから生まれる感謝の気持ち。この新米を通してお年寄りに教えてもらった気がします。

子どもたちにも、新米をおいしく食べてもらいたいです。

もし、私が保育園の栄養士さんだったら、どんなことをするだろう?

園の行事として「新米おにぎり(具バイキング)」とか?やっぱりふんわり炊き上がったご飯をそのまま食べてもらったほうがよいかしら?勝手に考え、想像しながら楽しんでいます。