ほうれん草の食べ方

uio.JPG     ほうれん草がおいしい季節が近づいてきました。

この時期のほうれん草は

・甘味が強い
→ほうれん草は気温が高いと葉の成長が早く、糖分をどんどん消費します。一方、寒いと成長が遅くなり、あまり糖分を消費せず葉や茎にため込むために、甘味が増し、おいしく感じます。

・ビタミンCが豊富
→この時期の路地物のほうれん草に含まれるビタミンCは夏採りの3倍量。

このようなほうれん草の栄養を効率よく摂取し、よりおいしく食べるポイントは、

・保存、調理法によるビタミンの損失をなるべく下げる工夫
・吸収率を上げる工夫
・えぐみ(シュウ酸)を和らげる調理の工夫

具体的に何に気をつけたらよいかをまとめてみます。

①ビタミンCの損失を防ぐためには新鮮さが大切。
→10℃の冷蔵庫で1日保存したものは、ビタミンC90%。
同じ条件で5日後、ビタミンC70%
→25℃の室温で1日放置するとビタミンC80%

②ビタミンCの損失を防ぐために、ゆですぎない。
→1分ゆでると、ビタミンC74%
→3分ゆでると、ビタミンC48%
→5分ゆでると、ビタミンC40%

③吸収率をあげるために油と一緒にとる。
→ビタミンA(カロテン)は脂溶性ビタミンなので、油と一緒にとることで吸収率がアップ
→油がほうれん草の表面を覆うので、熱や空気からビタミンC を守る。

④えぐみを和らげるために、油と一緒に調理する。
→食品中のシュウ酸と唾液に含まれるカルシウムが結合すると、物理的な刺激としてえぐみとなります。油と一緒にとることで、えぐみ成分であるシュウ酸とカルシウムの結合が阻害されてえぐみを感じにくくなります。

⑤えぐみを和らげるために、カルシウムを多く含む食品(かつお節や牛乳)と一緒に調理する。
→シュウ酸は唾液中のカルシウムではなく、食品に含まれるカルシウムと結合するので、えぐ味を感じにくくなります。

えぐみを感じにくく、青菜嫌いの子どもでも、おいしく食べることができるメニューを紹介します。

●えびとほうれん草のクリーム煮・・・ほうれん草+牛乳(カルシウム)の料理

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えび  20g
ほうれん草  40g
しょうが  0.2g
しめじ  5g
たまねぎ 20g
油  2g
牛乳 40g
生クリーム 6g
コンソメ 0.7g
塩 0.3g
片栗粉 1g

作り方

1 ほうれん草は2㎝の長さに切ってさっとゆでる。
2 海老は殻と尾をとり背わたをとって適当な大きさに切る。
3 生姜はすりおろす。
4 しめじは小房に分けてたまねぎはくし切りにする。
5 鍋に油を熱して生姜、たまねぎ、しめじを炒める。
6 5に牛乳とコンソメを入れる。
7 一煮立ちしたら海老、生クリームとほうれん草を加えて塩とこしょうで味を整えて片栗粉でとろみをつける。

●ほうれん草ともやしのナムル・・・ほうれん草+油の料理

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ほうれんそう 30g
もやし 20g
にんじん 5g
コーン 5g
ごま油 1g
ごま 0.5g
塩 0.2g

作り方
1 ほうれんそうは適当に切ってゆでる。
2 もやしはざく切りにしてゆでる。
3 にんじんは細切りにしてゆでる。
4 コーンをゆでる。
5 ごま油にごまと塩を混ぜる。
6 材料の水気をしっかり絞って5で和える。

青菜のおいしい時期は、毎日でも給食に使いたいものです。食品の組み合わせに注意し、調理の工夫をすると子どもは嫌がりませんが、保育士さんから「青菜ばっかり!」と意見をいただくことがあります。

きっと、青菜を食べることができない園児さんへの食事支援が大変なのでしょう。時には、ホットケーキやおだんごに混ぜるなどの工夫が必要かもしれません。

参考文献
女子栄養大学出版 調理のためのベーシックデータ
堀江秀樹・伊藤秀和 ホウレンソウのえぐみはシュウ酸に由来するか.日調科誌,39,357-361.