牛乳論争

ここ数年、「牛乳が体に悪いのでは?」という議論が繰り広げられています。

ことの発端は、2005年7月に刊行された130万部のベストセラーになった「病気にならない生き方」。(著者・米アルバート・アインシュタイン医科大の新谷弘実外科教授)。本の中で牛乳の健康への悪影響を主張しました。

これに反論したのは、日本酪農乳業協会。 医学や栄養学などの学識者16人で構成する「牛乳乳製品健康科学会議」(会長・折茂肇健康科学大学学長)を開催して、新谷医師に対して公開質問しました。昨年12月新谷医師からの回答書を公開し、「牛乳が悪いという科学的な根拠がない」とする見解を発表しました。

内容を確認してみてください。

http://www.j-milk.jp/topics/8d863s000007j0p1.html#block2

今回の論争の結論をどう見るかが問題です。

「牛乳が悪いという科学的根拠がない!」ということは、「根拠がない=牛乳が良い」ということではありません。まだ充分にわかっていない。ということです。

日本ではカルシウム摂取を牛乳に頼っている傾向があります。この論争から、「一つの食品で完全ものはない!」と言うことだけは、再認識すべきでしょう。

カルシウムを多く含む牛乳を飲めば飲むほど、骨が強くなる!という考え方は極端な考えです。

私たちの体には、ホメオスタシス(恒常性維持機能)という働きが備わっていて、血液中のカルシウム濃度は、常に一定の割合に保たれています。カルシウム濃度がこの割合を超えて高まると、腎臓が働き、尿として排泄します。

また、牛乳の中に含まれるナトリウムがカルシウムの尿中排泄を促進することは良く知られていることです。

日本人は、「骨」のために、カルシウムを口からとることに集中していますが、本当に重要なのはカルシウムを骨に入れることです。

カルシウムを骨に入れるためには、

・多様な食材からカルシウムを摂取
・日光に良くあたる
・適度な運動

牛乳については、まだまだ多くの問題が提起されています。
だからと言って「問題がある!子どもに食べさせない方がよいのでは!」と考えるのは短絡的。

「多様な食材の一つ」として利用することが大切です。
給食を提供する私たちが、一つの食品を取り上げて「良い!悪い!」と言うは滑稽です。