「日本の食料自給率40%」 良く聞くフレーズです。
自給率は、農林水産省が行っている、食料、農業、農村基本計画に基づく運動により、国民に広く認知されました。
食料自給率は、昭和の終わりには50%で、それ以降40%で横ばいの状況なのですが、この運動により国民の意識は大きく変わりました。
食料供給に関しての意識調査では
・非常に不安に感じている消費者 44.4%
・ある程度不安を感じている消費者 45.6%
農林水産省の重点的な取り組みは
1 実践的な食育と「地産地消」の全国展開
2 国産農産物の消費拡大の促進
3 国産農産物に対する消費者の信頼確保
1については、学校給食を中心に既に全国で展開されています。
3に関しては、輸入食品の品質チェックを厳しく実施する一方で、国内産の農産物、加工食品、外食産業への規制を強めて、国民から信頼される「国産」を目指して、トレーサビリティ・システム導入ためのガイドラインの作成などを行っています。
中国産餃子事件は、2の国産農産物の消費拡大を後押しする結果となっています。
保育園でも小学校同様、平成17年度に制定された食育基本法に基づき、「地産・地消費、食文化の伝承」などを推進していますが、課題も多いようです。
実施後の問題を取り上げてみます。
・愛知県では、小学校の地産地消運動の影響を受けて、「品種・あいちのかおり」の需要が高まり、春以降この品種が不足することになりそう。これにより価格が例年より高めになる。
・食文化の伝承を大切にした給食(手作りで素朴な献立)を提供しようとしたところ、現場から食材数が増えて検品に時間がかかる。調理業務が複雑になり人手が足りない。などという不満が続出。
・小学校では、国産、地域の食材にこだわったために年度末に向けて食材費予算が足りなくなっっているところがある。この問題は、生産する量より消費する量が多い都市に多く見られる。
国土の問題、農業の問題。現在の食習慣の問題。
これらの問題から、「地域でとれた野菜を食べる!そんな簡単なことができない程、私たちの食生活が変わってしまったのだ。」ということを実感できます。
これからの給食は、コストを管理するスキルが今まで以上に必要になってくるでしょう。昭和の時代に戻ろう!とした時に、意外に食材費、人件費にコストがかかるのです。
これを感じない保育園さんは、時代に流されず、健康的で安全な給食を提供し続けてきたということでしょう。