12月13日(土)~12月14日(日)に横浜で行われた「小児アレルギー学会」に参加しました。
衝撃的な症例を紹介します。長期間の過度な食物除去により「くる病と成長障害」をきたした症例です。
●生後1ヶ月・・・アトピー性皮膚炎と診断
●生後3~4ヶ月・・・食物アレルギーと診断
→医師の指導のもとで授乳する母親の卵・牛乳完全除去
●離乳食開始後(幼児期、学童期)は、医師の指導のもとで米と野菜中心の食事を継続。皮膚炎の症状が良いときは豚肉を少し食べた。
●小学校5~6年生・・・受診を中断。
●中学校・・・不登校。
●13歳9ヶ月・・・歩行困難、経口摂取不能で緊急入院。
入院時体重18.8㌔、身長124㌢。(全国の中学2年生の平均体重は49.9㌔、身長159.8㌢。)
入院後は、ビタミン製剤、カルシウム、リン製剤投与・スキンケア、ステロイド軟膏塗布、食事で症状改善。
この症例は、一見、過度な食事制限を指導した医療機関の問題のように思えますが、不適切な栄養管理を見逃してしまった保育園、学校にも責任があります。
保育園、学校では、安全性とコストの問題から「アレルゲンを含む食品の除去」を行い、除去した食品の栄養を補う代替食を提供しないことが多々あります。特に幼児期は一度に多くの栄養を摂取できないので、毎食、一品の食事から摂取する栄養素が大切なのですが、アレルギー児の栄養問題は見逃されやすいものです。
理由は
・偏食などによる摂取量の個人差が大きく、「一品」抜くことに対して抵抗がない。
→嫌いで全く食べない子もいるんだから、その子と一緒と考えれば問題はない!よくあること!!
・保育園では3食の内の1食を提供しているだけ・・。という意識を持っている。
→保育園でがんばって代替食を提供しても家庭で何食べているかわからない。
→家庭で食べれば、良いのでは?と思ってしまう。
・幼児期の栄養不足(ぼんやり、倦怠感、いらいら)は子どもの性格や個性と間違われやすい。
アレルギー疾患では、幼児期の栄養ケアが、学童期、思春期の栄養状態に影響を与える可能性があります。疾患への直接的な影響も考えられます。
保育園では、アレルギー疾患児に対して適切な栄養管理を行い、その知識と実践をもとに、保護者に指導していくことが必要です。
この症例発表は、写真つきのスライド多く、会場からは大きなため息がもれていました。
各機関の役割、責任を改めて感じました。