昨日、東京で行われた食物アレルギー研究会に出席して、新しい治療法の試みについて学びました。
食物アレルギーの現在の治療法では、必要最小限の除去を行いながら自然に寛解を待ちます。
新しい治療法である経口減感作療法では、症状誘発閾値を判定した後で、閾値以下の量から毎回量を増やして耐性を誘導していきます。感作療法自体は昔からあるのですが、食物アレルギー治療を目的としているところが新しいということです。
・症状誘発閾値の何分の1からはじめるか?
・量を増やしていく間隔(時間・日にち)は?
・耐性を維持するための摂取量は?
・必要入院日数は?
などエビデンスに基づいた治療法の確立が急がれています。
神奈川県立こども医療センターアレルギー科の報告では、自然寛解する可能性の低い年長児に対して経口減感作療法を試みて12日間という短い日数で完全な耐性を獲得した卵アレルギーの事例を報告しました。
この治療法に、大きな期待が寄せられています。しかし、一方では、
・現療法(食物除去)が負担になっている保護者が、間違った方法で試みる。
・医師が自分独自の治療法を正当化し、同じ呼び名で違う治療法を行う。
・栄養士が施設や学校で、間違った方法で実施している。
NPO法人アトピッ子地球の子ネットワークには、この経口減感作療法についての相談が多く寄せられているようです。
自然寛解と耐性を誘導していく治療のメカニズムは全く違うので、今後は年齢別、アレルゲン物質別、重症度別に治療方法が確立されて行くのだと思います。
私たち栄養士は継続して「必要最小限の除去」を行う中で食を楽しむことができる食事指導、給食提供を行っていきましょう。