わが国のアレルゲン表示義務制度は、アレルギー物質の含有量を測定できる公定法で定められた検知法が整備されています。これは世界的に見てもめずらしく、これによりアレルギー物質の表示の信頼性が高くなっています。
多くの研究の成果で表示が義務化されたことにより、食生活での皮膚・呼吸器症状やショック症状のリスクが大きく減りました。また日本では、除去した食品を、喫食可能になったかどうかを調べる負荷試験のガイドラインもまとまりつつあります。
*食物経口負荷試験とは、アレルギーが疑われる食品を、一定の時間間隔で量を増やして数回に分けて分割摂取させて、症状の出現を観察する検査です。
現在の表示に対しては
・もっと多くの食品について表示してほしい。
・表示が見にくいので、アレルゲンだけを並べて表示してほしい。
という今の表示を強化してほしいという要望が多くあります。その一方で、「アレルギー物質が表示されたことことにより、食べられないものが増えた!」という苦情もあるそうです。
これを先日出席した食物アレルギー研究会の発表で知り、とても、とても驚きました。アレルギー相談を行うNPO法人の方も、最近この相談を多く受けているそうでう。
誤って食べる可能性がなくなったかわりに、
・たんぱく質の分解進んでいるもの
・微量しか含まれていないもの
除去するものが増えた!というクレームです。保育園給食でも表示により対応が進んではいますが、除去食品が多くなっています。
アレルギーの診断基準が確定したことにより、入園時にアレルギー対応を希望する園児さんは増えており、園でも給食対応は必須です。
保育園で安全に、低コストで対応する方法は、「加工食品を使わないこと。」
しょうゆ、みそなど発酵食品の喫食歴(症状がでていないこと)が医師の診断書で確定すれば対応が楽になります。加工食品が少なければ、表示の問題から遠ざかることができます。
しかし、アレルギー対応では保護者を生活を支援しながら、園児の症状をコントロールしていくことが重要なので、表示に関する知識は充分持つ必要があります。