食中毒の原因をみると、調理従事者の手指を介して微生物が食品を汚染した事例が、多数報告されています。
少し古いデータですが、平成9年の全国食中毒の事件録によると、レストランにおける食中毒の発生要因が「手洗いの不備」であったものは、
・腸炎ビブリオ 6.4%
・サルモネラ 18.8%
・病原大腸菌 42.9%
・カンピロバクター 15.4%
・黄色ぶどう球菌 53.3%
・セレウス菌 11.4%
以前、施設に勤務していた時に、保健所に協力してもらって検査をおこなったことがあります。
方法は手形平板培地法
これは、手指がどれくらい汚染されているか。手洗いがどれくらいできているかを測定する方法です。検査はとても簡単。
①寒天培地面に手指をのせる。
②付着している細菌を寒天培地にスタンプする。
③35℃で1日培養する。
④発育した細菌集落を数える。
結果は、予想通り。
細菌が少ない → 手洗いをしっかりする人
細菌が多い → 老眼鏡をかけたり、はずしたりする人
顔をさわるくせのある人
細菌の数は目で見て一目瞭然。見えない汚れを目で確認したことが、手洗いの強い動機づけとなったようで、2回目の検査では、みなさん細菌の数が減りました。
食品と接触する機会が一番多いのが手指。「見た目にきれい」と衛生的な洗浄度は違います。
一度試してみるとよいと思います。
子どもたちに、手洗いがどれくらいできているかを見せる方法は
①食パンを用意する。
②食パンに手を押し付ける
③ビニール袋で1週間程度放置する。(夏場)
カビの量を確認することで、手の汚れがわかります。。
トイレに行った後、手を洗わないでさわったパンは手の形がくっきり!!カビだらけ・・。それを見た子供たちは本当にびっくりします。
自分の手を見ながら考え込んでしまう子どももいます。目に見えない汚れを見ることは、手を洗う動機づけになります。