給食管理にあたって最も基礎となる科学的データが、「食事摂取基準」。5月29日2010年版が公表されました。食事摂取基準とは、健康な個人、集団を対象として国民の健康維持、増進、生活習慣病予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示したものです。保育所給食における栄養関連の監査はこれを基準に行われます。
最近、「食事摂取基準が変わると何が変わる?」という質問をいただきます。
今回は、2つの基本的な考え方を復習してみます。
①科学的根拠に基づき策定
食事摂取基準は、2005年版で用いられた方針を踏襲しながら、可能な限り、科学的根拠に基づいた策定を行うために、国内外の学術論文、ならびに入手可能な学術資料を最大限に活用し策定されています。
②確率論が用いられている
望ましい摂取量は、個人によって異なり、個人内においても変動するため、「真の」望ましい摂取量を測定することも算定することもできず、食事摂取基準値の算定、活用には確率論が用いられています。
確率論を用い、下記の基準となる量を保育園の給与栄養目標量とします。
■推奨量・・・母集団の97~98%の人において1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
■目安量・・・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合、特定の集団の人々が一定の栄養状態を維持するのに充分な量
■目標量・・・生活習慣病の一次予防を目的として、当面の目標とすべき摂取量。保育園では塩分の目標量のみこれを基準とします。
推定平均必要量では不足のリスクが高くなるので、使用しません。
■推定平均必要量・・母集団の50%の人において1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
2005年版から①、②の考え方が変わらないため、学術的進歩により数値が変わるところがあっても、大きな違いはありません。
しかし、今回は栄養関連業務に活用することをねらいとして「給食管理」を目的とした食事摂取基準の基本的概念と活用の留意点が示されています。これにより保育園では食事摂取基準を理解しやすく、活用しやすくなることと思います。