4月の給食だより「子どもたちの健康を支える給食」

こんにちは。子どもの食事研究所 所長の佐橋ゆかりです。

子どもの食事研究所では、「給食管理ソフトわんぱくランチユーザ」に対して、毎月の給食だよりをエクセルデータで配信しています。

乳幼児施設向けの内容で、専用のイラストもかわいい!と人気です。エクセルデータなので、園の状況に合わせて変更も可能。是非ご活用ください。

今回は、4月のおたよりです。

保育園では、4月に新入園児を迎える準備が始まっているようです。入園、進級の季節は、子どもだけでなく周囲の大人も新たな気持ちになりますね。

「ワクワク」と「不安」両方感じるこの時期。「食事」をしっかりとることが、子どもたちの体と心の安定につながります。

保育園では、家庭と協力して、子どもの食事支援を進めることができるよう、給食だよりを通して、「望ましい食のあり方」を家庭と共有しましょう。

4月の給食だよりは、
・家庭の食生活の見本となる給食の内容
・保育園から家庭へのお願いごと
をお伝えします。

■子どもの食事にとって大切な要素

今回のおたよりでは、家庭の見本であるべき「給食」の内容を取り上げながら、子どもの食事にとって大切な要素を家庭に伝えます。

・安全な食事
・安心して食べられるおいしい食事
・必要なエネルギー・栄養素を補給できる食事
・感謝の気持ち、社会性を育むこと

▼ひとつめの「安全な食事」について

体が小さく、抵抗力がない子どもにとって一番大切なことは「安全」。食品の安全を守る鉄則は、細菌を「つけない・ふやさない・やっつける」です。

給食では、
・適切な温度で納品されたか
・納品時の食品の状態の確認
(鮮度・包装状態・異物の確認)
・職員の体調管理
・調理室の衛生管理
・調理時の加熱の徹底(中心温度の確認)
等を、しっかり行っていることをイラスト使って伝えます。

食べることには、常にリスクが伴います。子どもに食べさせる責任は、近くにいる“大人”にあるという意識を持つことは、とても大切。保護者とも共有したいところですね。

▼2つ目は、「安心して食べることができる美味しい食事」です。

子どもは、新しいものを避けようとする本能が備わっているため、初めて食べる食べ物を「おいしそう!」と思って食べることはありません。

乳児期には、何でも口に入れて確かめることのひとつとして、食べ物を口に運びます。この時期にいろいろな味、舌触り、におい等を体験しておくと、その後の食事もスムーズに進みますね。

保育園では、少しでも抵抗感なく、挑戦できるよう工夫しています。

・子どもの発達を考慮して調理
(切り方・加熱方法)
・適時適温・できたてのおいしさを提供
・旬の食材のおいしさを提供
・安心できる「いつもの味付け」で提供

味付けは、出汁と基本の調味料(醤油・みそ・みりん・酢等)を使って、食べ慣れた味で、いろいろな食材を食べることができるように工夫している点をお伝えします。

「いろいろな味や料理」ではなく、「安心できる味」で「いろいろものを食べる」ことが大切だということを、保護者にも知っていただきたいです。

▼3つ目が必要なエネルギー・栄養素を補給できる食事です。

子どもたちにとって、必要なエネルギー量と栄養素量は、たくさんの国内外の研究結果から、国が「食事摂取基準値」を決めています。保育園では、これに基づいてバランスの良い食事を提供していることを伝えます。

特に、健康課題である減塩・減糖・減脂が重要。毎日の食事で心がける必要があることを伝えています。

また、適切な栄養をしっかり摂取することができるよう、食事に集中することができる環境づくり、個別の支援、声掛けに配慮していることもおたよりに記載しています。

▼4つ目が感謝の気持ち、社会性を育むこと

日本では、昔から「地域の風土に合わせて育まれた食を通して、人とつながる」という食べ方が大切にされてきました。

給食では、友達や先生と一緒に食を楽しみ合いながら、社会性を育むことを大切にしていること。また、食事の時のあいさつをしっかり行うことの大切さをお伝えします。

・いのちをいただくことへの感謝(いただきます)
・食事のために駆け回ってくれた人への感謝(ごちそうさま)

また、日本の年中行事を大切にし、子どもたちに行事に込められた思いを伝え、「神々・ご先祖様・自然」と「自分」とのつながりを感じ、感謝する気持ちを育むことを大切にしていることを伝えています。

 

■献立表の活用と保育園からのお願い

4月のおたよりの最後では、献立表の活用について、保護者にお伝えしています。

献立表からわかることは、
・子どもにとって、おいしく食べ進めることができる料理の組み合わせ
・必要なエネルギー・栄養素量を補うことができる食品の組み合わせ
・給食で使用されている食品(子どもが食べることができる食品)

献立表を見て、家庭の食事のモデルにしてもらいたいですね。保護者が、“子どもの食”に関心を持ってくれることは、子どもの食環境の改善につながります。

そして、最後は、この献立表の活用として、園から保護者に「アレルギー事故を防ぐため」のお願いをしています。

給食で使用する食材を「献立表」で確認し、必ず、事前に家庭で食べて、アレルギー症状がでないことを確認してもらうようにお願いしています。

アレルギー症状の出現は、誰にでも起こり得ることで、それが大きな事故につながる可能性があります。

家庭との協働で、一人一人の子どもに安全な給食を提供できるように、給食だより通してお願いしています。

アレルギーについては、4月には、必ず園長先生から保護者にお話しすると思いますが、大切なことは、繰り返しお伝えすることが重要です。

 

■さいごに

4月のおたよりは、給食の内容をお伝えしました。

知っているようで、知らない!!という職員さん、保育士さんもいるかもしれません。

給食担当者から、給食の内容を詳しく伝えることは、いろいろな意味で食育効果が期待できます。

保育園では、保護者向けの食育として、
・給食だより
・給食献立表
・給食展示・画像

また、実際に保護者に直接お話をしたり、試食会を開いたりといろいろな活動が行われています。

子どもの健康づくりは、子どもの周囲の大人が全員で取りくむことが大切です。保育園と家庭との協働作業。みんなで、食の大切さを共有していくことが重要ですね。

 

[まとめ]
・食事事摂取基準は私たちが守らなければならない、エビデンスのある給食の目標

・子どもにとっておいしく食べられるものでなければ栄養が満たされない。そのために必要なのが、子どもに配慮した調理、適温、旬、安心できる味つけ。

・家庭もそれを知ることでより食環境と子どもの健康度が向上する