今日、NHKニュースで衝撃の研究結果の発表を見ました。
「生後6か月からゆで卵を少量ずつ食べさせたら、1歳になったとき、卵アレルギーの発症を80%も抑えられた。」という内容です。
(国立成育医療研究センター大矢幸弘医長らグループが9日の英医学誌ランセットに発表)
現在は、家庭においても、保育園においても
アレルギーの発症を懸念して
離乳期には卵を提供しない傾向があります。
また、現状では3歳児の約6%が医師の指示で卵の摂取を制限しています。
しかし、今回の結果では、
「食べて抑制できた」とのこと。
この研究結果は、今後のアレルギー治療に大きな影響をあたえそうです。
「除去」から「食べて抑制する」「食べて治す」時代。
早い時期に、ごくごく少量から食べ始めることで耐性を獲得する。
これは、今後アレルギー治療のスタンダートになっていくようです。
■研究方法と研究結果
【研究デザイン】
介入研究
○対象者 生後アトピー性皮膚炎になった乳児121人。
○グループは2つ
・A 加熱した卵の粉末を喫食 60人
・B カボチャの粉末を喫食 61人
○喫食量
・生後6か月 50ミリグラム
・生後9か月 250ミリグラム
・1歳 7000ミリグラム
【結果】
卵アレルギーの発症は
・Aの卵喫食群
60人中5人発症
・Bのカボチャ喫食群
61人中23人発症
この結果、少量の卵を食べることで、
アレルギーの発症を80%抑えることができたことがわかりました。
■家庭、保育園ではどのように対応すべきか!
この研究結果、現場で話題になることは間違いありませんね。
保護者から相談された場合は、、、
必ず担当医の指示に従うことをお勧めしましょう。
アレルギー対応の基本は、
「医師の正しい診断」に沿った対応です。
新しい研究結果が医療現場のスタンダートになるには時間がかかります。
食物アレルギーでは、
・除去すること
・食べること
は治療そのもの。
安易に助言することは危険ですね。
一方保育園では、
食べて治すことが一般的になったとしても
・量を間違えてしまうリスク
・園児の体調によって発症
を考慮し、治療のための喫食は家庭ですすめてもらうべきでしょう。
安全第一。
常に集団保育で起こる突発的な事故を想定し、安全な対応を心がけましょう。
■さいごに
食べて治す時代に入る中、
園児にとっては「正しい診断を受ける」ことがとても重要になります。
必要最低限の除去で栄養不足を防ぎ、
幼児期に食習慣の基礎築く上でも
「経口負荷試験」ができる病院に受診することはとても大切なことです。
平成27年度に行われた乳幼児栄養調査では、
アレルギー症状を起こした場合について、
6.3%の保護者が「保育園・幼稚園に相談した」
と答えています。
ファーストコンタクトが「保育園」ということもあり得ますね。
保育園では、最新知識を知った上で、
・保育園での対応
・家庭への指導
を別々に行う必要があると思います。
食物アレルギーについては、
給食担当者が頼りにされるケースが多いので責任重大。
子どもの食事研究所でもアレルギーについて常に学びながら皆さんと情報共有していきたいと思います。