新食生活指針から学ぶ

平成28年6月、16年ぶりに食生活指針が改定されました。

 

給食担当者の仕事の目的は、“子どもの健康増進”に寄与する事。

食に関するガイドラインはしっかり抑える必要がありますね。

 

食生活指針改訂までの16年間、、、

日本では食生活に関する幅広い進展がみられました。

・食育基本法の制定
・健康日本21(第二次)の開始
・「和食・日本の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録

今回は、新旧の食生活指針を比べながら、

現代に必要な食事のあり方を学びたいと思います。

 

■食生活指針の構成

食生活指針は食糧生産・流通から食卓、健康へと幅広く食生活全体を視野に入れて作成されていることが特徴です。

 

項目は10項目。

最初(1番目)が

「食事を楽しみましょう」

最後(10番目)が、

「食に関する理解を深め、食生活を見なおしてみましょう。」

となっています。

 

最初と、最後が、「・・・・・しましょう」と表現されているのは、

まずは健全な食生活をどう楽しむかを考え、

2~9番目の内容を実践し、

食生活を振り返り、改善するという

PDCAサイクルを推奨しているからです。

 

1 食事を楽しみましょう

2 1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。

3 適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を。

4 主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。

5 ごはんなどの穀類をしっかりと。

6 野菜・果物・牛乳・乳製品、豆類、魚などを組み合わせて。

7 食塩は控えめに、脂肪は質と量を考えて。

8 日本の食文化や地域の産物を生かし、郷土の味の継承を。

9 食糧資源を大切に、無駄や廃棄の少ない食生活を。

10 食に関する理解を深め、食生活を見なおしてみましょう。

 

■ゆっくりよく噛んで食べる

【1食事を楽しみましょう。】での改訂内容は、、、

旧:味わって食べましょう

新:味わいながらゆっくりよく噛んで食べましょう

 

食事を楽しみましょう。の項目に

「ゆっくりよく噛む」が追加されました。

 

毎日の食事をおいしく食べるためには、

口腔機能が十分に発達し、維持されることが重要。

 

保育園の食育でも「咀嚼」は大きな課題ですね。

 

保育園では、「ゆっくり噛む」練習ができる給食を目指す必要がありますね。

 

■適正体重の維持

今回の改定では、肥満予防とともに高齢者の低栄養予防が重要な健康課題となっている現状を踏まえ、

「適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を。」

の項目順番が、7番目から3番目に変わりました。

 

健康にとって重要であり、より意識づける必要があったからですね。

体重はこまめに量り、体重の変化に早めに気づくことが大切です。

 

体重の管理に欠かせないのが運動。

日常生活で身体を動かすことが十分に習慣化できている割合は高齢世代おり若年世代で低い傾向にあるとのことです。

子どもの保護者世代に身体を動かす習慣がないことは、子どもたちへの影響が心配ですね、

保育園では、健康保持・増進のために普段から意識して身体を動かすことで、適正なエネルギー量を消費することの大切さを家庭に向けてお知らせいきたいです。

 

■食塩と脂肪について

食塩についても、記載が変わりました。

 

旧:塩辛い食品を控えめにしましょう。

新:食塩の多い料理を控えめにしましょう。

 

「塩辛い」って思うかどうかは、個人差がありますよね。

 

今回の改定では、実際に食塩を多く使っている料理を控えめにしましょう。と言っています。

 

また、具体的な塩分量も大きく減っています。

旧:1日10g未満にしましょう

新:目標値は男性で1日8g未満、女性で7g未満とされています

 

脂肪については

旧:脂肪は控えめに。

新:脂肪は質と量を考えて。

上記のように変わりました。

 

旧指針にある「脂肪のとりすぎをやめ」という記載なくなり、

「動物・植物・魚由来の脂肪をバランスよくとりましょう。」

 

日本の場合、20歳第女性を除いた年代で、脂肪エネルギー比の目標値の範囲内にあります。

しかし生活習慣病である高血圧などの循環器系の病気は増加傾向。

問題になるのは、脂肪のバランスです。

今、脂肪はその質が問われています。

 

■新しい料理から郷土の味へ

旧:食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。

新:日本の食文化や地域の産物を活かし、郷土の味の継承を。

 

「旧:新しい料理」から「新:郷土の味」へ大きな変更です。

ガイドラインでは、伝統的な食材を用いて郷土料理を作り、家庭の味に加えることは、食卓のバリエーションに広がりを持たせることにつながると記載しています。

 

今までの考え方、、、

保育園での、マンネリな給食はダメ!

新しい料理も出したい!

という考えは、このようなガイドラインの影響を受けていたのですね。

 

これからは、日本の食文化である和食をおいしく食べることができる給食、地域の産物を活かした郷土料理を、子どもたちに食べやすい状態で提供する努力が必要です。

 

■さいごに

今回は、保育園給食に関連がある項目をピックアップして

新・旧のガイドラインを比べてみました。

 

時代とともに、健康的な食事のあり方が変わっていることがよくわかりました。

 

ガイドラインの改訂を機会に、

保育所職員全員で、

・子どもたちに食べさせたい食事

・保育園給食で伝えるべきこと

について考えてみるのはいかがでしょうか?