アレルギー対応で、誤飲を防ぐために食器の色を変える・・。という対応は、最近では標準になっています。
では、使用する調理器具についてはどのように考えたらよいのでしょうか?
厚生労働省のガイドライン作成に携わった海老沢先生、伊藤先生が財団法人母子健康協会 第30回シンポジウムの質疑応答で回答しています。
器具や鍋を分ける必要があるか?という質問に対して、
「基本的には洗浄をきちんとしている限り、専用器具を使わなくても問題がないと考えている。」と回答しています。
保育園向けには
「洗浄機での洗い残しの危険があるとすれば、アレルギー用の子どもの食器あるいは調理器具は、使う前に洗剤で手洗いを丁寧にすれば、それでオーケーというふうに考がえてよいのではないか。」と助言しています。
伊藤先生が通院している重度の食物アレルギーの家庭に対して、「専用の器具を使っていますか?」とアンケートを行ったところ、専用鍋を使っている人は2割程度しかいなかったそうです。洗剤をつかって手洗いしていれば、家庭内でそれほど事故は起きていないようです。
保育園の小さい給食室で、アレルギー用にすべて鍋を分けることは、調理工程を複雑にし、配膳間違いにつながるリスクがあります。環境(人・場所)が整っていない場合は、専用器具を使わず、洗浄を徹底することのほうが安全な給食につながりそうです。
重度園児の保護者から「家庭で鍋を分けているので、園でも鍋を分けてほしい。」と要望があった場合は、現状を説明し、症状のコントロールを最優先し、「弁当持参」も含めて検討し、保護者と協力して園児のケアあたるべきでしょう。