残食から子どもの食環境をコントロール

「保育園の調理員パートの先生が、市全体の子どもの食環境を改善した!」という興味深いお話を紹介します。

真夏になると暑さのために食欲が減退し、残食が多くなります。

給食会議では、園長や保育士から

・もっと食べやすいものを提供してほしい。
・量を考えてほしい。

という要望が毎年あります。

この要望に対して給食室では、子どもが好きな麺類を増やしたり、量が少なくてもカロリーが摂取できるように、脂肪分が多いおやつを提供するなど工夫をします。この結果、ビタミンやミネラルを充分に提供できないこともあります。

調理員パートの先生は、毎年この対応に疑問を感じていたため、夏が来る前の5月給食会議で、資料を提示し問題提起しました。

資料は、去年に7月・8月の残食量、人気献立の年間残食量をまとめたものです。

この資料からは

・7月・8月は残食が他の月に比べて多い。
・人気献立についても、7月・8月は残食がある。

献立の工夫でだけでは、充分な栄養が給与できていないことがわかりました。

調理員さんの発言はただ一言。「7月、8月は、残食が多くなるのですが、どうにかならないでしょうか?」

「7・8月はプランの段階から栄養給与量が少なく、合せて残食量が多い。」これは、市で大変な問題になりました。

この資料を提示したことで、給食室の問題から、保育園全体の問題に変わりました。園長、保育士、看護師、給食担当者がそれぞれが、「真夏に必要な栄養を給与するためにできること。」を考えました。

その結果

・水遊びの時間終了から喫食開始までの時間を検討し、給食開始時間を変更。
・天候に関わらず、クーラーを入れる時間を決めて室内温度を調整する。
・午前中に充分な水分補給を行い、体力の消耗を防ぐ。

これらが実施されました。

給食担当者は、直接子どもに接する機会が少ないために、受身になりがちです。

調理室からの情報提供(残食量)が、食欲減退による栄養摂取不足を改善することにつながった!というとても興味深い事例です。