給食室の中は、「人間関係」が難しいものです。仕事をやめたい!と思うのはほとんどが人間関係の悪化から・・。
給食室では、効率よく作業をするために、常に最適と思われる調理手順や調理方法を選択したいのですが、ここで調理担当者の間で意見の食い違いが生まれます。なぜなら調理は長い間、家庭の中で伝統的な技術や技能として受け継がれてきたからです。
最近はテレビなどの影響も大きいようです。
家庭の中で受け継がれた調理技術やテレビからの情報に頼り、調理科学に基づいた調理方法が選択できていない調理現場では、意見がぶつかり合い人間関係が悪くなりがちです。そうでなければ、積極的な改善活動が行われず、給食の質が低いまま維持されている状態でしょう。
重要なのは、理論に基づいた調理技術を把握し、調理方法を選択すること。
ちょっとおもしろい話があります。
チキンの丸焼きを作る時、必ず両端を切り落とす人がいました。
その人は「チキンの両端は切り落とし、捨てるのがあたりまえ!」と他の人にもそれを強制しました。
しかし、ふと自分がその理由を知らないことに気がつき母親に聞きました。
母親の答えは「おばあちゃんがそうしていたから・・。」
次におばあちゃんに聞くと、答えは「オーブンが小さかったから・・。」
これにはびっくり!オーブンが大きくなった今の時代には、鶏の端を切り落とす意味は何もなかったのです。伝統的に受け継がれる調理技術は多くありますが、調理器具、食材流通の変化によって現在では意味のない知識もたくさんあります。
このような理由で、時代ともに理論的な研究の必要性が次第に認識され、時代の変容に伴って、科学的研究が不可欠になりました。
給食担当者は、より質の高い給食を子どもたちに提供するために、調理学を理論に基づき把握し、調理技術を身につけていく必要性があります。それが「給食室の人間関係」の改善にもつながります。
調理を理論的に学ぶために最適な書籍を紹介します。
調理と理論 山崎清子(著)他 出版社: 同文書院
理論と実技の融合というコンセプトで、伝統的な調理から現代的な調理まで、和風・洋風・中華風などの調理様式を網羅して解説しています。新しい知見と最新の研究成果が取り入れられています。
こんな時どうするの?
なぜこうするの?
という疑問に必ず答えてくれる本です。
基本的なところでは、
・下処理の方法とその理由
・加熱温度と時間とその理由
・材料別調味割合
551ページに調理の理論がぎっしり詰まってます。調理室に1冊置いておくと役立ちます。