12月25日発表!日本食品標準成分表2020年版(八訂)

こんにちは。子どもの食事研究所 所長の佐橋ゆかりです。

12月25日に発表された
日本食品標準成分表2020年版(八訂)について

食品成分表は、各種食品の栄養素を詳しく載せた唯一の公的データ。1950年に初版が出て以来、改訂を重ねて今回が8回目の改訂です。

2000年以降、食品成分表は5年おきに全面改定を行い、2015年度版(七訂)の公表後は、利用者の便宜を考慮して、下記の通り、2016年~2018年までは2015年の「追補」を、2019年は「2015年版のデータ更新」を公表しています。給食管理ソフト「わんぱくランチ」では、その都度、食品成分表のデータを反映したバージョンアップを行ってきました。

日本食品標準成分表2015年版(七訂) 2191食品
同追補2016年 2222食品
同追補2017年 2236食品
同追補2018年 2294食品
同データ更新2019年 2375食品
日本食品標準成分表2020年版(八訂)2478食品

今回、発表された日本食品標準成分表2020年版(八訂)は、2015年以降に収載・変更した食品の成分値の反映を含めた全面改訂。大変、規模が大きい改訂です。私が栄養士として働き始めて30年。これ程のインパクトがある成分表の改訂は初めてです。

主な改定の内容は、

  • 調理済流通食品の成分値等の情報の充実
  • エネルギー値の計算方法の変更に伴うエネルギー値の更新

■食品について

今回の改訂では、食品群の分類は大きく変わりませんが、、、

七訂の食品群の「18調理加工食品類」が「18調理済み流通食品類」と名称が変わり、新たに「和風料理」「洋風料理」「中国料理」などが追加されました。

その他にも、即席めん、パン類、和生菓子類、ケーキ類など。また、市場のニーズがある「減塩タイプの食塩」などが追加されています。

反対に欠番になった食品は「五穀」。2015年(七訂)で追加された「五穀」が八訂で欠番になっています。五穀は、混合物のため製品によっての栄養成分の誤差が大きかったことが理由とのことです。

おおむね、2020年版(8訂)では、保育園給食に大きな影響がある食品の追加、欠番はありません。

■エネルギーの計算方法の変更について

保育園給食に影響が大きいのは、このエネルギーの計算方法の変更に伴う、エネルギー値の変動です。

今までのエネルギー値の計算方法は、、、

たんぱく質・脂質・炭水化物・アルコール・酢酸などを基に「食品ごとに異なるエネルギー換算係数」をかけて算出していました。

8訂では、分析技術の進歩、たんぱく質、脂質、炭水化物の組成に対する知見の集積を踏まえて、、、、

アミノ酸組成の合計量であるたんぱく質、脂肪酸組成の合計量となる脂質、利用可能炭水化物、糖アルコール、食物繊維、有機酸、アルコールを基に「組成ごとに一定のエネルギー換算係数」をかけて算出することになりました。

FAO/INFOODが推奨する組成成分を用いる計算方法を導入してエネルギー値の科学的推計の改善が図られました。

その結果、全食品のエネルギー値は、平均でマイナス12.42kcal。

公表された100gあたりのエネルギー値の変動は、

  • 米 358→342 kcal
  • 牛乳 67→61 kcal
  • 木綿豆腐 80→73 kcal
  • 鶏もも肉 127→113 kcal
  • 鶏ひき肉 186→171 kcal
  • 豚肩ロース 253→237 kcal
  • 豚ひき肉 236→209 kcal
  • 鮭 133→124 kcal
  • いわし169→156 kcal
  • 焼きのり 188→297kcal

多くの食品のエネルギー値が下がっていますが、エネルギー値が上がった食品もあります。海藻は、多く含まれる食物繊維が正しく扱われたことにより、エネルギー値が高くなりました。ただし、海藻はもともと使用量が少ないため、摂取エネルギー値に大きな影響はありません。

結果として、全ての保育園で、献立全体のエネルギー値が下がることになります。ちなみに、アドムの月間献立では、月平均が576→545 kcalに下がりました。

■保育園給食における対応について

給食管理ソフト「わんぱくランチ」では、この成分表の改訂が、保育園給食にどのような影響を与えるのか、また、その対応について動画でまとめて配信しています。期間限定で一般の方にも見ていただく事ができます。わんぱくランチのホームページのトップからご覧ください。https://admcom.jp/

■わんぱくランチの対応について

8訂の成分表に対応したバージョンについては、準備が整い次第、順次配布いたします。今回の書いては大幅なものですが、わんぱくランチではみなさんにスムーズにバージョンアップしていただけるように準備をすすめています。

さらに今回のわんぱくランチのバージョンアップでは

  • 2021年6月から完全施行となるハサップ対応帳票の追加
  • 2020年食事摂取基準に対応した「保育園・大量調理レシピ」(サンプル料理)の更新

など、内容が充実しています。

現場で十分にご活用いただき、子どもたちの健康増進につなげていただきたいと思っています。