保護者の支援のポイント

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保護者に支援する際に留意することを教えてください

2019年改定版がとりまとめられた「授乳・離乳の支援ガイド」。改定の研究会に参画した、調理学・母子栄養学・食育関連分野が専門の堤 ちはる先生に、保育園給食に関わる私たちが知っておきたいポイントを聴きました。

佐橋

保育園では、保護者支援という大きな役割がありますが、具体的に何をしたらよいのでしょうか?佐橋 保育園では、保護者支援という大きな役割がありますが、具体的に何をしたらよいのでしょうか?

堤  

子どもの健康状態は、家庭生活の影響が大きいので、まずは、保護者とコミュニケーションをとり、保護者に寄り添うことが大切です。下記の調査結果からも、食事の心配事がある人ほど、育児に自信がもてないという結果になっています。


食事の心配事と育児の自信関係


佐橋

保護者によって、食への意識の違いもあり、難しさを感じることがあります。

堤  

今回のガイドでは、「離乳期は、両親や家族の食生活を見直す期間でもあるため、現状の食生活を踏まえて、適切な情報提供を行うことが必要である」と記載されています。

佐橋

現状に合わせた食育が大切ということですね。

今回のガイドには、コラム「ベビーフードを活用する際の留意点について」(p.35)があります。第2回の検討会でベビーフードについて、私がお話しました。ベビーフードは、ナトリウム含有量の上限が設定されているために、塩分は多くなく、使用できる添加物も限定され、衛生管理の基準値を設けて管理された製品です。それなのに使うことに対する罪悪感が強い方もおられます。

佐橋

栄養補給という意味では、必要に応じて使うべきだし、保育園においても、災害時用とそれを回す使い方もできたらと感じます。

例えば栄養士がベビーフードに対して好ましくないイメージをもっていると、親御さんに対してもそのような雰囲気が出てしまい、相手もそれを敏感に感じます。ベビーフード協議会では自主規格を設け、生後12か月までの商品なら塩分は約0.5%以下に設定されています。保存性が高いのは、作る工程で、高温加圧により菌が死滅しているからです。素材が良いものなので、味が引き立って調味が濃く感じることもあります。まずは支援者が、ベビーフードについて、正しい知識をもつことが大切です。

佐橋

うまく活用していく方法がありそうですね。

子どもが離乳食を食べてくれなかったり、拒絶したりすることがあります。離乳食を食べる行為は、訓練して獲得する、後天的に学ぶ過程なので、子どもはどのように食べてよいか分からない場合には、払いのけてしまうかもしれません。また、大人と一緒で、その気分でないと食べたくないこともあります。しかし親は、自分の腕を嘆き、一生懸命作ったのにどうして食べないの?と、無理やり食べさせようとすることも。これでは食事が緊張を強いられる時間になり、マイナスです。ベビーフードは、メーカーや形状、味を変えられるので、子どもも自分も責めなくてよい。食事が楽しくなる手段として、その力を借りてもよいのです。食事中は親が楽しくて、胸がときめく時間で、共に食べることが楽しいということを優先したいです。今回の改定では、離乳の進行において、「共食を通じて食の楽しさやコミュニケーションを図る、思いやりの心を育むといった食育の観点も含めて進めていくことが重要」という表現が入りました。食事は空腹を満たすだけの時間ではありません。食べる楽しみの経験、共食の大切さも意識してほしいですね。

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