何をいつから?食べさせる時期に迷います。

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何をいつから?食べさせる時期に迷います。

2019年改定版がとりまとめられた「授乳・離乳の支援ガイド」。改定の研究会に参画した、調理学・母子栄養学・食育関連分野が専門の堤 ちはる先生に、保育園給食に関わる私たちが知っておきたいポイントを聴きました。

佐橋

例えばある自治体の離乳食マニュアルでは、「7か月を過ぎて離乳食がすすんだら、白身魚から赤身魚、そして青皮魚へ」と記述がありますが、各期で食べさせる食材としては、「青皮魚は9か月」からとなっていて、何をいつからというのが現場の先生は迷うようです。

目安はこのころ、という認識でよいでしょう。例えば給食にサバの料理が出て、8か月半の子に食べさせたらだめかというとそうではありません。目安はこのころであって、子どもの成長・発達の様子や食欲を見て、適宜判断してほしいですね。

佐橋

料理の煮方や形態、どういう形状になっているかを想像するのも方法なのかなと、先生の離乳食に関する著書を見て感じました。

私の著書では、食べられるけれど積極的に食べさせなくてもよいという料理を△で表示しています。白(○)か黒(×)ではありません。月齢が来ていなくても食べられる子がいますよね。1歳すぎたらマヨネーズは使用可能ですが、そこから毎日マヨネーズを匙一杯あげましょう、というわけでもない。しょうゆについても素材の味で食べられるものであれば、積極的に食べさせなくてもよいのです。

佐橋

子どもの味覚、量、与え方を考慮して、ですね。

堤  

豚肉は7、8か月で与えてもよいけれど、量や脂肪の量を考えましょう、ということですね。柔らかくして繊維が残らないように。目の前のお子さんの健康状態、咀嚼力などを総合して、適宜判断してすすめていくことになります。

佐橋

保育園で離乳食を食べさせる上では、ここまでお家ですすめてください、という考え方になりますか。

堤  

「初めての食べ物は平日の午前中に与えること」になっていますが、それは、多くの医療機関の診療時間を想定してのこと。しかし、平日忙しい親は、慣れたものを与えてしまうので、その子どもは食の経験が広がりづらいです。
栄養士を対象としたある研修会では、「卵の開始時期は5、6 か月になっている。いきなり食べさせてアナフィラキシーショックがあったらどうすればよいのか」と質問がありました。初めて食べるということはすべてがいきなりです。いきなりがなかったらいつまでも食べられません。最初は固ゆでの卵黄を耳かき1杯ほど、少しずつ食べさせる。卵はアレルギーが心配と言いますが、おかゆやじゃがいもなどと同じ食べ物です。卵黄の開始時期は、子どもの育ち、食欲、体質にもよるので、関係者と連携し、今までの経過を見ながら、適宜判断することになります。

佐橋

安全を最優先にすることで、魚等、多種類の食品を提供できていない現状とともに、後期になった時に栄養素等の摂取不足があるように感じています。

離乳食の栄養素等が足りない分はミルクで補う。今の子どもの栄養状態が問題ないのであれば、それでよいのではないでしょうか。子どもの状態は、成長曲線で見ること。数か月前から成長曲線のカーブに沿って増えているか、食べる量がどうかというときも、必ず成長曲線を確認します。親御さんの多くは、母子健康手帳に成長曲線を描いていらっしゃいますが、成長曲線と食べる量の関係性に気付かず、それはそれ、になっていることが多いです。食べる量が、その子に適切かどうかは成長曲線で判断することが大切です。大人でも同じ量を食べて体型が違うのは、活動量の違いや、体が筋肉質か脂肪が多いか等が様々なためです。成長曲線が下の方だからと、たくさん食べさせて体重を増やす必要はなくて、下の方なりに曲線を描いていたら成長が適切であると判断します。子どもは、毎月、身長と体重が同じ割合で増えるわけではないので、体重だけがカーブに沿わなくても、すぐに食事制限とはなりません。「積極的な見守り」で、親子に関心を寄せてほしいですね。

佐橋

保護者から、離乳の開始前に、果汁やイオン飲料を与えて準備する必要がありますか?という質問があるようです。

果汁やイオン飲料は必要はありません。熱が出たときに医師が脱水症の予防に子ども用のイオン飲料をあげてくださいと言われることがあります。病気のときに飲むとよいから平常時に飲むのもよいと解釈される人もいますが、それは誤りです。イオン飲料の多量摂取による乳幼児のビタミンB₁欠乏が報告されています。授乳期及び離乳期を通して基本的に摂取の必要はなく、必要かどうかの判断は、医師の指示に従うことが大切です。

佐橋

家庭に対しては、自然食で体によいイメージのハチミツへの注意喚起も必要だと感じています。

乳児ボツリヌス症を引き起こすリスクがあるため、1歳を過ぎるまでハチミツやハチミツ入りの飲料やお菓子などの食品を与えてはいけません。乳児ボツリヌス症は、食品中にボツリヌス毒素が存在して起こる従来のボツリヌス食中毒とは異なり、1歳未満の乳児が、芽胞として存在しているボツリヌス菌を摂取し、当該芽胞が消化管内で発芽、増殖し、産生された毒素により発症するものです。1 歳を過ぎれば摂取は可能です。

佐橋

フォローアップミルクの活用について教えてください。

母乳の代替食品ではなく、離乳が順調に進んでいる場合は摂取する必要はありません。離乳が順調に進まず、鉄欠乏のリスクが高い場合や、適当な体重増加がみられない場合には、医師に相談します。必要に応じてフォローアップミルクを活用すること等を検討します。

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