「みんな仲良く、同じ給食を食べて
すくすく育ってほしいから」
Vol.10 ニチイキッズ逆井みなみ保育園
Vol.10 ニチイキッズ逆井みなみ保育園
2003年、保育事業へ本格的に参入したニチイ。直営保育園「ニチイキッズ」をはじめ、事業所内・病院内保育所の運営など、さまざまな保育サービスを展開、拡大しています。手掛ける保育関連施設は、200拠点以上に上ります。
メインとなるのは保育園・保育所運営。保育方針に「おもいっきり遊ぶ。おもいっきり学ぶ。」を掲げ、「おもいっきり給食」と名付けられた給食にも、強い思いが込められています。
給食方針「おもいっきりみんなが食べられる給食~おもいっきり遊んで、おもいっきり空腹になって~」。これはニチイの保育事業が拡大する2015年8月、ニチイ保育管理部の栄養士・飯田文子さんが発案したコンセプトです。
飯田さんはコンセプトを作るまでの思いを、以下のように語ってくれました。「食事の現状として、食べ物が溢れ、手軽に食べ物を手にすることができることにより、食事が空腹を満たすだけの作業となることに危機感を覚えます。今、自分の食べている食事は、自分の健康な体を作っていく源であることを無意識の意識として根付かせるためには、『食』に興味を持たなければなりません。この点を踏まえ、厚生労働省『食育基本法』の『保育所における食育に関する指針』を基にニチイキッズができることは何かを考え、形にしたのが『おもいっきり給食』です。『おもいっきり給食』は、毎日の給食も『食育』の時間ととらえ、保育園の集団給食だから体験できる『みんなで食べる給食』を目標としました」
また、「おもいっきり給食」はお昼の献立に限り、三大アレルギー原因食材の乳・卵・小麦を使用しません。「これによりアレルギーのある子もない子も同じ食事を食べる機会を増やすことができました。先生や友だちと同じ食事をすることで、『食』を通じたコミュニケーションが生まれ、食に関する会話を楽しみ、みんなと美味しいを共有する喜びを体験します。そのことにより、子どもたちは自然と『食』への関心を育み、『生きる力』へとつながっていくものと信じています」
そこで給食目標として立てられたのが、①給食をわくわく楽しみにする子ども ②食べたいもの好きなものが増えすくすく育つ子ども ③みんなと仲良く食べられるいきいきした子ども、の3つです。
「おもいっきり給食」最大の特徴は、お昼の献立に限り、三大アレルギー原因食材の乳・卵・小麦を使いません。
「アレルギーのある子もない子も、一緒においしく食べられるのが理想です。『おもいっきり給食』の導入当初は、『アレルギーのある子のための食事でアレルギーのない子にとってはメリットのない』との声もありましたが、アレルギーのない子でも、アレルギーのある大好きな友だちと一緒に食べたいと思うのでは?みんなで食べる昼食は、保育園ならではの食育の時間でもあると考え、乳・卵・小麦は、忙しい家庭でも摂取しやすい食品ととらえました」と飯田さん。
ニチイの本部から全国の施設へ配信する「標準献立」を基本に、現場では、地域の特色ある食材に置き換えたり、地域になじんだ調味料を使い、アレンジして提供する仕組みです。
「献立は、和洋中と、バリエーションを意識しながら、旬の食材を盛り込むことを意識しています。昼食・おやつで6種類以上の野菜を取り入れながら、食材のおいしさを感じてほしいので、薄味を心がけていますね。行事食や最終的な味の調整は現場の栄養士さんでなければ出来ないところなので、おまかせしています」
仕組みづくりから3年。飯田さんは、「『おもいっきり給食』の考え方がようやく浸透してきました。関係者と価値観を共有でき、子どもの健やかな成長を願う仕組みが整ったので、これから目指すものをしっかり形づくっていきたい」と意気込みます。
食べる楽しさを教え、心の安定・味覚の発達を促すことを目的とした食育活動は、日ごろから積極的に行っています。食事のマナーなども教えながら社会性を育み、伝統食、行事食と取り入れたイベントは月2回ほど。子どもたちの笑顔がはじけていました。
園長先生が、楽しそうに絵本を読むと、自然と子どもたちが集まってきます。
「食べたことあるよ!」と声が飛び交います。
アジサイの生花を見て、子どもたちは興味津々。
その後、2色のゼリーを袋に入れ合わせ、「アジサイのゼリー」を完成させました。
「野菜スタンプ」を使って、先生がクイズを出します。
クイズの後は、本物の野菜が登場。
その野菜は給食にも使い、食べるところまでを一連の流れにしています。
今年の夏は、子どもたちが自ら苗を植えて、毎日水やりをして、収穫しました。
育った野菜は給食の献立に登場!
また、給食に使う、季節の野菜の皮むきなども手伝います。
多くの施設に一斉配信される標準献立を、現場の状況にあわせて、みんながおいしく食べられるようにアレンジ。栄養士・五月女さんの、ひたむきに、前向きに仕事を進める姿勢には、保育士の先生からの厚い信頼が! 円滑な連携で、子どもたちにもいい影響を与えています。