給食の現場は、人と人のコミュニケーションなくしては成り立ちません。栄養士さんや調理師さんをはじめ、現場に立つ人々にとっていつもこのことは大きな課題として目の前に立ちはだかってくることかと思います。県庁の管理栄養士として、そして大学の教壇に立つ管理栄養士として、日本の栄養士のシーンを切り開いてきた土井喜美子先生。
今回、先生のご自宅で伺ったお話は、この国の栄養士の歴史そのものでした。はっとさせられる幾つものエピソードの中には、今日の調理の現場を再考するヒントがたくさん詰まっています。特に、仕事の中でどういう風に人と向き合っていくべきなのかということについては、とても参考になるお話を伺えました。先生の行動はときに大胆に映るものですが、それらはすべて日常生活に根ざしたしなやかな知性に裏付けられています。だからこそ先生の言葉はいつだって優しく、そして重い。ふだん私たちが目にしている給食の現場のさまざまなことが、あれもこれも土井先生のはじめられたことだと知ってびっくりする一方で、今日の給食というのが、土井先生を含む先輩たちが文字通り体当たりで築いてきたものだと痛感する一日でした。
給食の現場を知ることで、
給食の未来を創造する。
Vol.4 管理栄養士 土井喜美子先生