児童福祉施設給食の栄養給与目標の取扱いについて

平成12年1月19日児母第1号
都道府県・指定都市・中核市民生主管部(局)長宛
厚生省児童家庭局母子保健課長通知


[改正経過]
最終改正 平成13年7月3日 雇児発第444号・障発第284号

 児童福祉施設における給食は、入所児童の健全な発育及び健康の維持・増進の基盤であるとともに、 おいしい、楽しいという情緒的機能や食事を大切にする考え方を教える等の教育的機能などがあり、 その役割は極めて大きい。

 また、近年、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病の増加が問題となっているが、 その予防には子どもの頃からの正しい生活習慣、 とりわけ食習慣が重要であると指摘されており、 児童福祉施設における給食においても、適正な栄養素量の給与とともに、生活習慣病の予防の 観点から、正しい食習慣形成に向けた栄養指導に取り組む必要性が生じてきているところである。

 これまで、児童福祉施設における給食業務の指導については、昭和31年5月24日児発第302号 厚生省児童家庭局長通知「児童福祉施設における給食業務の指導について」に基づき、 実施方お願いしてきたところであるが、児童福祉施設における給食を取り巻く環境が変化する とともに、今般、日本人の栄養所要量が改訂され、平成12年度から使用することとされてきたので、 平成12年4月1日からの児童福祉施設における給食業務の指導については、下記の事項に留意の 上、実施方お願いする。

 なお、本件に関しては、すでに保健医療局と協議済みにつき申し添える。  おって、昭和31年5月24日児発第302号厚生省児童家庭局長通知「児童福祉施設における 給食業務の指導について」は平成12年3月31日をもって廃止する。




1給食業務の指導体制について

(1)児童福祉施設の給食業務の指導に当たっては、児童福祉施設の所管部(局)が主体となり、 栄養改善、衛生管理等の技術的指導について衛生主管部(局)の協力、特に、保健所の積極的な協力を得て実施すること。

(2)各施設は、その所在地を管轄する保健所と常に連絡を密にし、給食業務に関し積極的にその助言 及び指導を求めること。

(3)児童福祉施設職員特に施設長に対しては、適時、講習会、研究会等により知識・技術の向上を図ること。

(4)適用な施設を「給食モデル施設」に選び、これに重点的な指導を行うことを通じて 一般施設の水準向上に資すること。

(5)児童の栄養改善に関し成果をあげている児童福祉施設、病院、研究機関等の研究成果 を十分活用し指導すること。

2 給食業務指導の重点について

(1)必要栄養素量の確保
(イ)入所施設(助産施設、肢体不自由児施設、第一種自閉症児施設、重症心身障害児施設 及び母子生活支援施設を除く。)における入所児童の栄養素等の給与目標値については、 「第6次改訂日本人の栄養所要量−食事摂取基準−」 によることとするが、 その内容は別表「児童福祉施設における年齢別・性別栄養所要量」のとおりであるので 参考とされたいこと。

 また、知的障害児通園施設等通園形態の施設(肢体不自由児通園施設を除く)の栄養素等の 給与目標については、入所施設の給与目標に準じ、実態に沿った取扱をされたいこと。

(ロ)必要栄養素量を確保するために計画的に献立を作成すること。なお、栄養価計算に 当たっては、 「五訂版日本食品標準成分表」 (科学技術庁資源調査会−平成12年11月)を使用すること。

(ハ)使用食品の適正な選択、強化食品の使用等により、積極的に適正栄養素量の給与に努めること。

(2)合理的な食事の給与

(イ)児童の食事の調整に当たっては、児童の特性に応じた適正な調理が必要であるので、 給食担当者の調理技術の向上を図ること。

(ロ)随時、児童の嗜好、残食調査等を行い、その結果を活用して適正な献立の作成、残食の 防止を図ること。
(ハ)季節に応じた適温給食、合理的な食品の選択、盛りつけ方法の研究等児童の好みに応じ、 食欲をそそるように食事を給与するとともに、 個食の是正にも留意すること。

(3)給食管理の確立

(イ)各施設において給食管理の適正を図るため、 少なくとも月1回は施設長を含む関係職員による給食に関する打合会 を行い給食計画を立てること。
(ロ)給食施設は必要に応じて保健所の関係職員の指導を受け、調理及び食品の衛生的管理 の改善に努めること。
(ニ)給食担当者の健康診断及び定期検便、食品の衛生的取扱い、消毒等保健衛生に万全を期し、 食中毒や感染症の発生防止に努めること。

(4)栄養指導の推進
正しい食習慣形成に向けて入所児童、保護者等に対する給食献立の提示、各種媒体の活用等による 栄養指導の実施に努めること。




[改正経過]
最終改正 平成13年7月3日 雇児母発第37号

平成12年1月19日児発第27号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、厚生省児家庭局長通知 「児童福祉施設における給食業務の指導について」により児童福祉施設における栄養所要量が 改正され、平成12年4月1日から適用することとされたところであるが、その指導に当たっては、 下記の点に留意願いたい。
 おって、平成6年6月14日児母衛第2号本職通知「児童福祉施設給食の栄養給与目標の 取扱について」は平成12年3月31日をもって廃止する。



1 入所施設(助産施設、身体不自由児施設、第一種自閉症児施設、重傷心身障害児施設 及び母子生活支援施設を除く。)においては、施設ごとに「児童福祉施設における年齢別・ 性別栄養所要量」と「入所人員構成」により荷重平均栄養所要量を求め、それを栄養給与の 目標とするよう指導すること。
 なお、入所児童の年齢幅が大きい場合等一律の荷重平均栄養所要量が適当でないときには、 適宜年齢階層ごとに荷重平均栄養所要量を求める等配慮が必要であること。また、 乳児については、荷重平均栄養所要量によらず乳児ごとの月別階級別栄養所要量を用いること。


2 保育所における給食の栄養給与目標については、3歳未満児3歳以上児の区分別に、 別表「保育所における栄養給与目標算出例」を参照して、給食を行うよう指導すること。 なお、延長保育に伴うおやつの給与については栄養所要量の10%程度、夕食の給与については、 栄養所要量の25〜30%程度を目安とするが、保育時間や家庭での食事の状況を勘案し、 柔軟に対応すること。
 また、乳児については、乳児ごとの月齢階級別栄養所要量を用い保育の実態にあわせた 取扱を行うこと。

3 児童の肥満や少児の生活習慣病の観点からエネルギーの過剰、たんぱく質や脂肪の過剰摂取 とならないよう十分指導すること。

4 栄養給与目標は、あくまでも献立作成上の目安であり、個々の対象児の給与に関しては その特性を十分配慮し弾力的に用いること。





別表 保育所における栄養給与目標算出例

(1)1〜2歳児の栄養給与目標(完全給食・おやつを含む)

  エネルギー
(kcal)
たんぱく質
(g)
脂肪
(g)
カルシウム
(mg)

(mg)
ビタミンA
(μgRE)
ビタミンB1
(mg)
ビタミンB2
(mg)
ビタミンC
(mg)
1〜2歳児栄養所要量(1) 1,100 35 31〜37 500 7 300 0.5 0.6 45
給食とおやつの給与目標
所要量に対する比率(2)
50% 50% 50% 50% 50% 50% 50% 50% 50%
保育所における栄養給与目標[(1)×(2)] 550 18 16〜19 250 3.5 150 0.25 0.30 23

注)1 昼食及びおやつで栄養所要量の50%を給与する。
2 脂肪は、エネルギーの25〜30%に相当する量である。
3 1歳以上における食物繊維の目標摂取量は100kcal当たり1gとすること。


(2)3〜5歳児の栄養給与目標(副食・おやつを含む)

  エネルギー
(kcal)
たんぱく質
(g)
脂肪
(g)
カルシウム
(mg)

(mg)
ビタミンA
(μgRE)
ビタミンB1
(mg)
ビタミンB2
(mg)
ビタミンC
(mg)
3〜5歳児栄養所要量(1) 1,400 45 39〜47 500 8 300 0.6 0.8 50
給食とおやつの給与目標
   所要量に対する比率(2)
40% 40% 40% 50% 40% 50% 40% 50% 40%
栄養量[(1)×(2)] 560 18 16〜19 250 3.2 150 0.24 0.40 20
家庭から米飯110g持参するとしてその栄養量(3) 185 3 0 3 0.1 0 0.02 0.01 0
副食とおやつの栄養給与目標[(3)-(4)] 375 15 16〜19 247 3.1 150 0.22 0.39 20
保育所における栄養給与目標 400 15 16〜19 250 3.1 150 0.22 0.39 20

注)1 昼食(主食は家庭より持参)及びおやつで栄養所要量の40%(ただし、日常不足しやすいカルシウム、ビタミンA、ビタミンB2は50%)を給与する。
2 表に示した家庭から持参する主食の量は一例を示したものであり、施設の食品構成に応じて検討し、その量を決定すること。さらに個々の児童への適用にあたっては、
その特性について十分配慮し柔軟に行うこと。
3 脂肪は、エネルギーの25〜30%に相当する量である。
4 1歳以上における食物繊維の目標摂取量は100kcal当たり1gとすること。

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