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食教育教材の大規模リスト 2000/09/05

食教育のサイトはこのところ日本でも増加しつつある。 しかし、インターネットになるとどうしても本家アメリカには一日の長がある。 特に、食教育教材の情報の深さでは現在のところ、 アメリカに大きく水をあけられている。


●貴重な教材リストが300以上

今回はこどもの食教育の教材を幅広く集めたサイトを紹介しよう。

http://www.nal.usda.gov/fnic/pubs/bibs/edu/preschool.html

国民農業図書館(NAL)は、農務省の下位組織。農業に関する情報データベース を取り扱っている。

農務省の管理下で、アメリカ合衆国内の一般企業が開発した食教育教材を 紹介している。 食の安全性、食べ物の科学、栄養知識の基礎など食教育全般の教材がインターネット で公開されている。掲載されている教材のリストは320以上にも上る。

アメリカの国民は、これらの教材を国民農業図書館(NAL)から借りることができる。 もし、直接NALから借りることができなければ、 地域の図書館を通じてレンタルすることが可能だ。

教材は4つの分野にまとめられている。

・食教育カリキュラムと指導案
活動内容の活動の目標、活動のねらい

・こどもの学習活動
インタラクティブな授業形態に焦点をあてた活動を掲載

・視聴覚教育
創造的な指導計画を可能にする

・トレーニングスタッフ用指導書

●教材の事例

これらの教材にはどんな活動があるのか、具体的に見てみよう。

・ポップコーン博士の食のピラミッド大冒険

栄養と健康についての基礎知識を身につけることを目標にしている。 食のピラミッドを使用して、栄養学的なガイドラインを紹介したものだ。 1〜3学年用、4〜6学年用、7−9学年用の3部に分かれてた大作だ。

・探偵マイク・ローブのファンタスティックな旅

VHSビデオカセット(10分)とワークブックで構成された教材。 マイク・ローブは体が縮んでしまい、台所のバクテリアと話ができるようになる。 どこでバクテリアが生息しているのか、バクテリアが生きていくためには 何が必要なのかを知る。食中毒にならないためにバクテリアを制御し、 殺すにはどんな方法があるのかを知っていく。

・1日5品目ビンゴ

リーダーが果物や野菜の名前を呼ぶたびに、 プレイヤーはビンゴカードの上にかかれた該当する食品を埋めていき 最後に5角形をつくるというビンゴゲーム。

・食のピラミッドドミノ

全部倒れると、食のピラミッドが現れるドミノ倒し。 食のピラミッドの食品群構成にあわせてドミノを配置していくプロセスで 食品群を覚えることができる。

●指導書も豊富

文献中心であるが、栄養士用の専門書も豊富に掲載されている。 特に興味深い点が、プレゼンテーションやリーダーシップに関する 参考書籍まであるところだ。

中には、学校やデイサービスセンターで開発した、教育プログラム や教材を、市場で販売する方法を記述した書籍まで紹介されている。 なんとおおらかなことだろう。だが、考えてみれば、教材はほんとうは 学校や保育園で実践の中から開発されるものなのだ。 いい実践は製品化して、できるだけ多くの人たちに使用してもらう。こういう作業が よりよい教材を開発していくための近道だ。学びたい姿勢である。

●背景にはアメリカ合衆国の保険制度が

これだけアメリカ政府が健康教育関連企業を後押しするのは、 国民が健康になることが、即、国益につながっているからだ。 教材の活性化が、国民の健康の増進に寄与し、ひいては医療費の 引き下げにつながっていく。実際のところ、アメリカは ヘルシーピープル2000の実施によって、 医療費を抑制することに成功したようだ。

アメリカでは、このサイトのように政府機関がインターネットで、 教材や食教育に関連する製品について、 メーカー名、問い合わせ先、紹介記事を書いているのだ。

政府が公共事業で教材を開発しなくとも、 一般企業や大学や研究所、あるいは、学校などの教育現場で 開発された教材の情報を集め、審査を行い、優良な教材を公開することによって 「食教育教材市場」を活性化させている。

それに対し、日本の場合、政府機関はほとんど製品の紹介にタッチしていない。 それは特定の企業に対して利益を与えることへの恐れが背景にあるためだ。 一般的に、公共機関は、特定企業の活動を紹介することはほとんどない。

企業にとっては、正直言って、教材を開発することよりも、売ることの 方が大変だ。教材開発を行うメーカーは弱小資本のところがほとんどなので、 コマーシャルを行うことは敷居が高い。 このような分野の商品の場合、価格を高めに設定せざるを得ないが、高価なので売れない という悪循環に陥ることになる。

これでは、食教育教材が開発され、エンドユーザに届くまでの時間は 圧倒的に違ってきてしまう。

もし、政府機関もどうどうと優秀製品をインターネットで公開するような 動きを行えば、思わぬところから、新しい教材が世の中にでてくることに なるのではないか。このようなサイトを眺めていると、インターネット 先進国のアメリカにこの点ではまだ遅れをとっていると感じざるを得ない。


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