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福祉サービスの第三者評価に関する中間まとめ 2000/06/23

厚生省は福祉サービスの第三者評価事業の導入について検討を進めており、 平成12年6月2日、「福祉サービスの第三者評価に関する中間まとめ」を報告した。

■いよいよ動き出した福祉サービスの第三者評価

福祉サービスを第三者によって評価するシステムを構築する動きがいよいよ活発になってきた。 厚生省は、第三者評価基準の中間まとめを発表している。

介護保険の導入などにより、福祉サービスも大競争時代を迎えた。サービス機関の競争は サービスの消費者による評価と裏腹の関係。だが、福祉サービスは、生活そのものの 支援サービスであるだけに、利用者がサービスを評価するまでに時間がかかったり、 利用者自身が評価を下しにくい雰囲気があったり、あるいは簡単に人権が侵されてしまうという 側面がある。福祉サービスの第三者評価機関を設置しようという動きは、利用者の権利を擁護し、 福祉サービスの公平な選択を促すという発想から生まれてきた。

■「栄養」についての評価基準は?

厚生省のホームページにある、「福祉サービスの第三者評価に関する中間まとめ」を見ると
(http://www.mhw.go.jp/search/docj/shingi/s0006/s0602-1_16.html)

具体的な評価項目を見ることができる。

食事の項目については、「福祉サービスの適切な提供」の領域に次のような評価項目が挙げられている。

・V-4-(1) 必要な利用者に対する食事の支援が適切に行われている。
・V-4-(1)-(5) 食事(栄養管理含む)について、必要な利用者のサービス提供計画に基づき 個別・具体的な支援方法が明示されている。
・V-4-(2) 快適な食事環境の整備に配慮している。
・V-4-(2)-(6) 利用者一人ひとりの嗜好を把握し、それに応じたメニューが提供されている。
・V-4-(2)-(7) 利用者が食事を楽しむことができるような工夫をしている。

これだけでみると、これまで長い間行われてきた給食の監査となんら異なることはなく、 「安心」してしまうのではないだろうか。むしろ、給食サービスにかかわる人間から見ると、 たったこれだけ?という印象なのかもしれない。

■ 本質は、個別のサービス目標の設定と達成度

この評価基準全体を貫く発想の本質は、サービス計画の立案と達成度を比較し、そのサービス 提供機関を評価する点にある。そして、計画と結果のペアで評価を下す発想は、今、急速に企業 評価で一般化しつつある手法だ。

企業の情報開示の必要性が叫ばれるようになって久しい。金融機関が企業を評価するときに ついても、将来の事業計画と将来のキャッシュによって融資をおこなうようになっていくだろう。 アメリカの場合、派手な事業計画をぶち上げても、それを達成できなければ企業評価が落ちてしまう。 だから、投資家から投資を受けようとする場合には、常に実現可能な事業計画を提示し続けなけれ ばならない。今後は、日本の企業においても、土地や建物などの担保力で融資を決定する戦略から、 将来のキャッシュの実現性によって融資を決定する方向にシフトするものと思われる。

この中間報告をみれば、個人のサービス計画の有無が評価の核になっていることが読み取れるのだ。

■日本人の栄養所要量の第6次改訂

個別に計画を立案し、目標に向かって行動するプロセスを評価するという発想が、今回、福祉サービス にも導入されたのだ。特に、個別で具体的な支援計画が評価の大切な要素となっている。

日本人の栄養所要量の第6次改訂でも示されたように、「個人を対象とし、欠乏症からも遠ざかり、 過剰症からも遠ざかって、よりよい栄養状態を維持し、健康増進するための指標」として、 栄養摂取基準を考えなければならない時代に入った。これからは、個人別の栄養指導計画と実施が 重要になるのだ。

給食サービスの目標づくりにおいても、「おいしい」、「心のこもった」、「あたたかみのある」といった、 理想的なことばをただ単にならべておればよいのではなく、いかに、個別の問題にきめ細かく対応する サービス計画を立案し、実施できたかで第三者から評価されるのだ。そのためには、栄養士と保育士と 保健婦が共同してサービス計画を立案、軌道修正しながら栄養指導や健康指導を実施していける 体制作りが急務といえる。


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