朝食は、一日の食事のうちで最も大切な食事であるといわれるようになった。にもかかわらず、朝食を食べないこどもたちが増えている。
今回は、朝食を抜くことの問題について考えてみたい。 ■朝食を食べないこどもが増加 近年、朝食が一日の食事の中で最も重要な食事であるということが指摘されるようになってきた。多くの栄養士が、このことを指摘しているにもかかわらず、朝食を抜く人たちは年々増加している。 ある調査によれば、25歳から34歳の女性の4分の1が朝食を食べていない。食生活の習慣は子どものときに強く刷り込まれ、 成人になっても持続することが多い。朝食を食べさせてもらっていないこどもたちが、将来、自分自身のこどもに朝食を食べさ せるようになることは極めて期待しにくいことだ。 ■脳はエネルギーを貯蔵できない 脳はそれ自身ではエネルギーを保存することができず、常に外部からエネルギーを補給し続けなければならない。にもかかわ らず、安静時でも体全体から見て20%以上のエネルギーを消費するのだから、大変浪費家の器官だ。朝食を食べずに午前中の 活動を行えば、食事を食べた後、13時間、14時間が経過していることになる。午前中のメンタルワークを維持するためのエネル ギーが不足してしまうのは容易に想像がつく。 朝食を毎朝食べるこどもは、朝食を抜く子どもたちよりも注意の持続時間やクラス討論会などで得点が高いという結果が報告さ れている。朝食を毎日食べてくるこどもは、そうでないこどもよりも成績面でも得点がいいのだ。 ■朝食ダイエット 知人にダイエットのために一食食事を抜く人がいる。食事を抜くことにより、ダイエットを行おうとするのは完全な誤りだ。食事を 抜くことは、食事の一回当りの摂取量を増やすことになり、中性脂肪を蓄えることに直結するからだ。 夜の食事を抜くことは付き合いもあり困難だから、ダイエットのために朝食を抜くのだという。この人は、中性脂肪を蓄えることに よって生活全般の活動性を低下させ、なおかつ午前中の精神活動を低下させるという間違いも犯していることになる。ちょっと怖 い話だ。 ■炭水化物とタンパクのシナジー効果 学習プロセスにおいて、タンパク質と炭水化物は生化学的なパートナーであるらしい。炭水化物は脳の活動を安定化させる働き をもつ。たんぱく質はアミノ酸に分解され、脳に到達し、脳を活性化する。炭水化物とたんぱく質が組み合わさったとき、たんぱく 質がアミノ酸に分解されて脳に到達させるのを助けるという。 日本には、ほんの30年前まで、「朝飯は生たまごとごはんに味噌汁。それに漬物。」という伝統があった。もちろん、これは、農耕など 重労働が中心の時代に培われた知恵で、必ずしも現代社会で利用的な食生活のスタイルとはいいがたいかもしれないが、この 定番の朝食にも一理あったということか。 近年、ある食品とある食品の組み合わせて、非常に大きな効果が生まれるというxyz理論が確立されつつある。そのメカニズムは 複雑で、なかなか解明することが困難だが、結果は私たちが食事に抱いているイメージと矛盾しない。栄養バランスの良い、「食 のピラミッド型」の食事が望まれるということだ。 ■抜くよりましなのは朝飯 とはいえ、すばらしい朝食を用意することは、たいへんな労力を必要とする。早寝早起きしないと、とても望ましい朝食を用意する ことができない。特に、米と野菜中心の日本式の朝食をつくろうとすれば、冷凍食品の肉料理にバターと牛乳というパターンに比 べ、当然、料理時間が延びる。 しかし、朝食がないよりは、簡単な食事でもあったほうがよいのだ。女性の社会進出によって、短時間でバランスのいい食事をど うやってつくるかが課題になっていることは明らかだ。当サイトでも、女性の社会進出に賛同しつつ、いかに望ましい食事を作って いくのかというテーマに取り組んでいきたいと考えている。 |
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