「わんぱくランチ」献立立案・栄養計算・監査資料・発注業務これ一本にすべて1パック!

保育室からこんにちは 2000/05

 保育室では毎日いろいろな出来事が起こる。ちょっとしたきっかけから、保育園の食教育が好循環することもある。 今回は給食時間にスポットをあて、実践教育をレポートする。


 ある保育園で、「給食で子どもの必要とする栄養量を満たすために、1人分の食事の量を職員が勉強してみよう。」 ということになり、給食室の前に毎日サンプル献立を並べることになりました。サンプル献立は,3歳以上児,3歳未満 児に分けて栄養士の立てた献立を元に、出来上がり分量を給食担当者がきちんと計量したしたものとしました。

 3歳児担当の保育士は、毎日子どもと一緒に子ども1人が必要とする分量をみるために、給食室にでかけました。

子ども 「先生、今日の御飯は何?」
     「こんなに食べられない。」
     「もっと食べたいなー。」
保育士 「今日の御飯もおいしそうだね。」
     「給食の先生の作ってくれた食事をこのくらい食べれば元気いっぱいだよ。」
     「今日は、御飯にお肉、野菜の献立だね。」

などと、サンプル献立を見ながら、食品について、味について、量についてなど、子どもといろいろなお話をしました。 1ヶ月がたったある日、保育士にとってうれしい出来事が起こりました。

 A君は小食で、保育士はいつも量を少なめに配膳していました。この日も、いつものように料理をつけわけようとすると

A君 「ぼくの体にあった量でいいよ。ぼく仮面ライダークーガのように強くなりたいから。」

と言うのです。このころから、この保育園では、少なめにつけてと言う子がどんどん減っていったのです。職員の勉強の ために始めたサンプル献立提示で、いつのまにか子どもたちは自分たちの体にとってバランスのよい適量があることを 知ったようです。小食、偏食の子どもの多さに悩まされていた保育士にとって、この出来事はとても大きな喜びでした。

 保育士のスキルアップを目的として、適切な食事量のデータを提示したにもかかわらず、それが、気がつかないうちに、 子どもにまで影響を与えていたのです。食にまつわる、保育士とこどもたちとのコミュニケーションの大切さを改めて感じ ます。

 3歳の子どもに教育的な話をして、このように行動までも変えることは無理なことです。
このように、子どもへの食教育はとても体験的、実践的なものなのです。毎日の保育園、家庭での食事から子どもたち はたくさんのことを学んでいます。子どもは周囲の人と一緒に楽しく、豊かな食体験をしていく中で、生きる力を学び とっていくものだと思います。

 周囲の大人は子どもが豊かな体験を数多く出来るように自ら学び、食環境を整えて、支援していくことが必要だと思います。 保護者、保育士の食事に対する意識の向上が、直接的に子どもの食環境を整えることにつながり、ひいては、すての保育 環境に影響を及ぼしていく可能性があるのです。


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