忙しい現代。家庭に対し、体系的な食教育を実践することは時間的に難しいのが現状。しかし、ちょっとしたアイディアと労力を
かけるだけでも、保育園において食教育の環境を向上させることができる。今回は、こどもと母親が、ゲーム感覚で食に対する
意識を変えていくことができる実践例をご紹介する。 ■ 毎日の実践から生活習慣を身につけさせる 生活習慣は小児期にその基本が身につけられるものなので、小児期からの家庭教育や保育所、幼稚園、学校保健教育 などを通じて、小児期からの生涯を通じた健康教育を推進していく必要があります。しかし、生活習慣病の予防といっても、 小児本人にとっては直接的な動機づけにならないために、虫歯のような身近な疾病の予防を例にとって、健康的な生活習 慣を教えていきます。規則正しい生活リズム(食事,睡眠)、手洗い、歯磨きなど毎日の生活が健康教育そのものです。 小児の代表的な生活習慣病である虫歯の予防に始まり、小児の生活習慣は親の責任であるといっても過言ではありません。 だからこそ育児負担が大きいことを念頭におき、保護者そのものが健康的な生活習慣を身につけることができるように支 援していく必要があると考えます。 ■ 保護者、特に女性に向けてアプローチ ここでは、わかりやすく女性向け「健康づくり〜美しさを保つ8つのS〜」を紹介します。 スマイル ストレスコントロール スリープ スリム スポーツ ストップスモーキング セクシー 趣味 まず、心の健康のためにスマイル、ストレスコントロール、睡眠は欠かせません。肥満予防のためにはスリムでなければ ならず、健康増進のためにはスポーツも欠かせません。禁煙は健康のための必須条件です。また常に異性を意識してセ クシーであり、なんらかの趣味を持つことは人生に潤いを与えます。 現代の女性は、家族のためにのみ生きることを強いられ、子ども中心のくらしにあせりと苛立ちを感じています。だからこそ 子どものためではなく、母親自身のために、美しい女性でいることのすばらしさをアプローチしていくことが、その家庭の生 活環境の充実に有効だと考えます。 ■ 子どもに向けてアプローチ 本来であれば、保護者,特に母親への教育がもっとも有効です。しかし、職を持つ母親に対して教育チャンスを得 ることさえ難しい現代社会。そこで、子どもを介して母親の食行動を変える試みとして実施している例、また子ども自身 へ運動の必要性をわかりやすく体験させる例を紹介しましょう。 ※ゴールドメダルゲーム 子どもにパペットやペープサートを使ったメダルゲームで、食品の組み合わせとその摂取によってゴールドメダルが得ら れる遊びです。このゲームの利点は、食事の組み合わせが悪いとメダルが取れないので、こどもは母親に必ず何色の食品 を食べさせるようにと要求します。給食関係者はそれによって、母親が食品の組み合わせを意識するようになることを期待で きるため、この方法は必ず成功します。 . ※おやつと運動 ダイズの目によってこまを進め、あたった食品をめくると運動の種類と時間が、消費エネルギーと同じになるように書かれて います。例えばポテトチップがあたったとしたら、運動(例えばぶんぶんダンス2分間)をみんなで飛び跳ねて踊ります。これに よってポテトチップ1枚でどのくらいの運動が必要か知ることができます。これは保育士の運動意識を変えるのに役立ちます。 また保護者の保育参観の時に親子で参加してもらうとゲーム感覚で食教育ができます。 ■ 現代の食教育のあり方 少し前の時代までは、食教育=栄養教育でした。子どもの体位向上を主眼に置き、食教育は進められてきました。しかし小 児までもが生活習慣病に犯される現代では、そのリスクを排除するための食教育=健康教育となりました。現代は、食事に始 まり、睡眠、運動、環境、親子関係等、心と体の健康を目的とした教育が求められています。これには保育園がより体験的、 実践的で一貫性のある食育方針を持ち、計画的に進めていく必要があると思います。 |
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