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食のピラッミッド 2000/05

 図1は、アメリカ合衆国農務省が開発した食品ピラミッドだ。現在、アメリカにおいて 食事指導や、学校教育の現場で用いられているシステムである。直感的に理解しやすく 日本においても応用可能だ。

  食品はどれも特定の栄養素を含んでいるが、すべてを含んでいるわけではない。 また、どのグループの食品も他のグループの食品より重要と言うことはなく、 健康のためには、すべての食品群が必要であると考えるのが正しい。

 栄養のためには、できるだけ幅広く、異なった種類の食品を食べることが重要である。 また同時に、生活習慣病を防ぐためにも、適切なウェートコントロールの指針も必要になる。

 食品ピラミッドは、「食育」を進める上の上記の2つの課題をいかに満たしていくの かに焦点が当てられている。

●ピラミッドの各部分について

 ピラミッドの先端は、油類、マーガリン、糖、ソフトドリンクなど、脂肪と糖を 示している。

 上から2番目のレベルは、ミルク、チーズなどの乳製品グループと肉、トリ肉、魚、 乾燥豆、卵、ナッツのグループだ。これらの食品はタンパク質、カルシウム、鉄、 亜鉛を豊富に含んでいる。

 上から3番目のレベルは、野菜のグループと果物のグループだ。ミネラル、ビタミン、 食物線維が含まれる。

 ピラミッドの底の部分は穀類のグループ。このグループのボリュームがもっとも 大きくなっている。

●各部分には摂取するべき量が示されている。

 ピラミッド先端の脂肪は、小さい。つまり、あまり摂取してほしくないことを表して いる。その他のグループにも脂肪(黄色の丸または四角)と糖(白色の逆さ三角また は四角)のシンボルがある。健康な食品のためには、ピラミッド先端の脂肪、油、 菓子だけでなく、その他のグループの食品の選択にも注意しなければならない。

 各食品グループに表記されているいサービング数は範囲で表記されている。 日本人の栄養所要量の第6次改訂の序章でも述べられていることだが、 適切な栄養所要量は個人によって異なる。個人に適当な栄養所要量は ライフスタイルが必要としているカロリーによって変化する。

 カロリー数は、年齢、性別、体の大きさ、および活動の程度に依存する。 しかし、なんらかの指標は必要になる。食のピラミッドのように、範囲指定がしてあると、 使い勝手がよい。

●サービングとは

 1サービングとして数える食品の量は下の表の通りである。これ以上食べた場合には、 1サービング以上とする。
分類 1サービング
穀類 パン1片 シーリアル30g 調理した穀物、ご飯、麺
野菜 1杯の生の葉野菜 半杯の調理又は小切りした他の生の野菜 3/4杯の野菜ジュース
果物 1個の中ぐらいのリンゴ、バナナ、オレンジ 半杯の小切りや、調理済み、又は缶詰の果物 3/4杯のフルートジュース
乳製品 1杯のミルク、ヨーグルト 45gのナチュラルチーズ 60gのプロセスチーズ
肉、トリ肉、魚、乾豆、卵、ナッツ 60-90gの調理した肉、鶏肉、魚 半杯の調理した乾豆、 1個の卵は30gの赤身肉に相当、2大さじや3分の1杯のナッツは30gの肉に相当
学校法人 中村学園大学 図書館資料より転載

 サービングは一般的なガイドである。いろいろ混じっている食品では、主な成分について、可能な範囲で推定すればよい。 例えば、大きなピザについて言えば、穀類(外側)、乳類(チーズ)、および野菜(トマト)から成っているというように カウントしていけばよい。

●ダイエットを希望している場合への応用

 痩せるための最良でもっとも簡単な方法は、運動量を増やして、食事中の脂肪と糖を減らすことだ。 しかし、たとえ、ダイエット中であっても、健康な体を維持するためにビタミン、 ミネラル、炭水化物、タンパク質をバランスよく摂取することが必要である。 ダイエットを行っている場合でも、食事ピラミッドに表記されている、 最低限のサービング量が守れるように指導する。

●さいごに

 現在のように、必須栄養素の数が増えてくると、まずはじめに、食品群全体から 材料のバランスを考えるアプローチが必要になってくる。

 食のピラミッドは穀類でもっとも土台になっている。2番目が野菜と果物であり、3番目に 乳製品や魚、肉となっている。このバランスから、新日本料理の姿がイメージされるのは筆者 だけではないだろう。日本食の優位性を改めて指摘しておきたい。

 オーストラリア人の知人から、オーストラリアでも、食のピラミッドを学校で教えている と聞いた。日本でも、いろいろな食のピラミッドが活用されると面白い。



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