図1は、アメリカ合衆国農務省が開発した食品ピラミッドだ。現在、アメリカにおいて
食事指導や、学校教育の現場で用いられているシステムである。直感的に理解しやすく
日本においても応用可能だ。 食品はどれも特定の栄養素を含んでいるが、すべてを含んでいるわけではない。 また、どのグループの食品も他のグループの食品より重要と言うことはなく、 健康のためには、すべての食品群が必要であると考えるのが正しい。 栄養のためには、できるだけ幅広く、異なった種類の食品を食べることが重要である。 また同時に、生活習慣病を防ぐためにも、適切なウェートコントロールの指針も必要になる。 食品ピラミッドは、「食育」を進める上の上記の2つの課題をいかに満たしていくの かに焦点が当てられている。 ●ピラミッドの各部分について ピラミッドの先端は、油類、マーガリン、糖、ソフトドリンクなど、脂肪と糖を 示している。 上から2番目のレベルは、ミルク、チーズなどの乳製品グループと肉、トリ肉、魚、 乾燥豆、卵、ナッツのグループだ。これらの食品はタンパク質、カルシウム、鉄、 亜鉛を豊富に含んでいる。 上から3番目のレベルは、野菜のグループと果物のグループだ。ミネラル、ビタミン、 食物線維が含まれる。 ピラミッドの底の部分は穀類のグループ。このグループのボリュームがもっとも 大きくなっている。 ●各部分には摂取するべき量が示されている。 ピラミッド先端の脂肪は、小さい。つまり、あまり摂取してほしくないことを表して いる。その他のグループにも脂肪(黄色の丸または四角)と糖(白色の逆さ三角また は四角)のシンボルがある。健康な食品のためには、ピラミッド先端の脂肪、油、 菓子だけでなく、その他のグループの食品の選択にも注意しなければならない。 各食品グループに表記されているいサービング数は範囲で表記されている。 日本人の栄養所要量の第6次改訂の序章でも述べられていることだが、 適切な栄養所要量は個人によって異なる。個人に適当な栄養所要量は ライフスタイルが必要としているカロリーによって変化する。 カロリー数は、年齢、性別、体の大きさ、および活動の程度に依存する。 しかし、なんらかの指標は必要になる。食のピラミッドのように、範囲指定がしてあると、 使い勝手がよい。 ●サービングとは 1サービングとして数える食品の量は下の表の通りである。これ以上食べた場合には、 1サービング以上とする。
サービングは一般的なガイドである。いろいろ混じっている食品では、主な成分について、可能な範囲で推定すればよい。 例えば、大きなピザについて言えば、穀類(外側)、乳類(チーズ)、および野菜(トマト)から成っているというように カウントしていけばよい。 ●ダイエットを希望している場合への応用 痩せるための最良でもっとも簡単な方法は、運動量を増やして、食事中の脂肪と糖を減らすことだ。 しかし、たとえ、ダイエット中であっても、健康な体を維持するためにビタミン、 ミネラル、炭水化物、タンパク質をバランスよく摂取することが必要である。 ダイエットを行っている場合でも、食事ピラミッドに表記されている、 最低限のサービング量が守れるように指導する。 ●さいごに 現在のように、必須栄養素の数が増えてくると、まずはじめに、食品群全体から 材料のバランスを考えるアプローチが必要になってくる。 食のピラミッドは穀類でもっとも土台になっている。2番目が野菜と果物であり、3番目に 乳製品や魚、肉となっている。このバランスから、新日本料理の姿がイメージされるのは筆者 だけではないだろう。日本食の優位性を改めて指摘しておきたい。 オーストラリア人の知人から、オーストラリアでも、食のピラミッドを学校で教えている と聞いた。日本でも、いろいろな食のピラミッドが活用されると面白い。 |
||||||||||||
| 戻る |