リッチなパンとリーンなパン
「よいパンがないところには住めない」 パンを主食とする国では、いいベーカリが近くにあるかどうかは 都市生活のクオリティを左右する大切なポイント。 パンのエンスージアストではなく、普通の人たちが冒頭のような言葉をごく普通にかわします。 ヨーロッパや北米の都市では、パンを無造作にペーパーバッグに入れ、 小脇に抱えて歩く姿がよく見かけられますが、 そのパンは間違っても食パンではありません。 お気に入りのベーカリーで、丸い形、棒状のもの、バケット型など、 それぞれの買い手が、それぞれのこだわりで手作りのパンを選びます。 ●リッチなパンとリーンなパン こういった手作りパンはリーンな(貧しい)パンといわれています。 実は諸外国で主食として用いられているのはリーンなパン。 リーンなパンは全粒パンやライ麦パンのように素材そのものの味を生かして焼かれます。 糖分は少なく、バターやマーガリンなどの脂肪についても、ほとんど使わずに焼きます。 食感は硬く、味は甘くありません。 しかし、毎日食べても決して飽きることはなく、噛めば噛むほどおいしくなる のがリーンなパンの特徴です。 リーンなパンは、合わせて食べる他の食材の味に大きな影響を与えません。むしろ、 合わせて食べる食材の味を引き立たせます。日本の「ごはん」役割と似ています。 それに対して、日本で消費されているパンはほとんどがリッチなパン。砂糖や脂肪が豊富に含まれていて、 白く、ふわふわとして食感がよく、ひとくち食べれば甘い香りが口の中に広がります。 ●リーンなパンは売れないけれど 大手製パン会社も、ウインドベーカリも、職人の立場からはリーンなパンを造ることには魅力を感じるものの、 消費者が選択しないために焼くことができません。 店頭にあまり並んでいないので、消費者も味を食べ比べることがでず、 なかなか要望を出すこともできません。 リーンという呼び名とは逆に、高価格商品としてリーンなパンが売られるような状況になっています。 経営的にみても、ベーカリーはクロワッサン、バターロール、ウインナーロールなど利益率が高い、 調理パンや菓子パン、ホテル食パンなどのリッチなパンに頼らざるを得ません。 でも、ほんとうは栄養バランスやこどもたちの歯の発育にはリーンなパンの方が都合がいいのです。 保育園でこどもたちがパンが入った食事を食べるところを観察していると ほとんどのこどもがパンから食べ始めることがわかります。 これがごはんになると、こどもたちはおかずから食べはじめ、最後にごはんを食べます。 リッチなパンは、主食というよりも、間食に近い存在になんですね。 全粒パンには食物繊維が豊富に含まれ、消化や便通を助けてくれます。 栄養的にも、フランスパンやライ麦パンの方が食パンよりも優れています。リーンなパンを使うと 料理に幅が増え、栄養的な偏りも避けることができます。 パンは、お米と並んで重要な穀物エネルギーです。ところが、調理パンとして食べられたり、 クロワッサンのように高脂肪なパンがよく消費されるため、 健康に関するパンのイメージはあまりよくありません。 でも、それはちょっと困った偏見なのです。 消費者がリーンなパンの良さに注目する必要があります。 そうすればもっとリーンなパンの消費が増え、 パン食によるクオリティの高い食生活をゲットできるかもしれませんね。 パンの種類と栄養価
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