米粉の蒸しパンをおいしく作ろう!

こんにちは。子どもの食事研究所 所長の佐橋ゆかりです。

市販製品の「米粉」の原料となる米粉は、安全でおいしく、保育園のおやつの材料として活用したい食品のひとつです。

米粉には良いところがたくさんあります。

・小麦粉よりしっとりとしていて、咀嚼・嚥下機能が未発達な子どもにとって食べやすい

・小麦粉より甘く、砂糖の使用量を減らすことができるのでヘルシー。

・アレルギーのリスクが低いため、米粉を使った料理はアレルギーがある子も一緒に食べることができる。

米粉は、保育園で積極的に使いたい食品のひとつです。

今回は、この「米粉」を使って、おいしい「蒸しパン」を作る方法をご提案します!!

 

■米粉と上新粉の違い

子どもの食事研究所に度々いただく質問です。

米粉と上新粉の原料は、同じうるち米。

違いは粉砕方法による粒の大きさです。

上新粉は、うるち米を洗って乾燥後に、ロール挽きと呼ばれる方法で細かくします。

一方、米粉は気流粉砕や衝撃式粉砕。この粉砕機器が開発されたことにより米粉は上新粉よりも、粒子が細かくなったため、小麦粉の代わりとして活用されるようになりました。

うるち米の粉を、粒子の大きい順に並べると、「並新粉(餅とり粉)>上新粉>料理・製菓用米粉」となります。

 

■米粉の性質の違い

次は、米粉の性質の違いについてです。

米粉は、粒の細かさだけでなく、破損デンプン含量も重要です。

これは、粉砕中の熱や衝撃で傷がついたデンプンの量によって、蒸しパンなどの出来上がりに差がでるということです。

破損デンプンが多い米粉を使って蒸しパンを作ると、吸水が多くなるために生地が重たくなります。そのために加熱をしたときに膨らみが悪くなります。

ローラーで挽く上新粉も破損デンプンが多いため、膨らむことなく“もちもち”とした食感になります。

米粉は、粒子が細かく、破損デンプンが低い方がよいとされています。

 

■米粉の購入について

粒子の大きさは、上新粉>米粉ですが、実際には、上新粉と同じ方法で挽かれたものが、「米粉」として売られているケースがあります。

さらに製品によっては、「米粉(上新粉)」とか、「上新粉(米粉)」と書かれているものもあります。

保育園では、パン用・製菓用と書かれた米粉を使用することをおすすめします。

パンを作ることができる米粉は、粒子が細かく、破損デンプンが少ないものなので、保育園で蒸しパンを作ることができます。

子どもの食事研究所では、全国の皆さんが購入できる商品、「日本製粉株式会社/パン・製菓・お好み焼き・惣菜料理用米粉(秋田県産米)」を使用しています。

先日、弊社子どもの食事研究所で出版した“和給食2~おやつ編~”では、米粉の注意点として、「出来上がりが異なる可能性があるため、なるべく本製品(日本製粉)をお使いください。」とお伝えしています。

日本製粉の米粉はインターネットで気軽に購入することができます。

 

■米粉の蒸しパンの注意点

蒸しパンは、保育園の定番おやつです。

米粉の蒸しは、パン子どもには、しっとりと食べやすいため、小麦粉の蒸しパンの代わりに、米粉蒸しパンを出す園が増えているようです。

その一方で、「米粉の蒸しパンを作ったら失敗した!!」という話もよく聞きます。

今回は、必ず上手にできるコツを3つお伝えします。

1 必ず、パン・製菓用の米粉を購入する

2 米粉に水分を加えたら、なるべく早く加熱する

3 熱が伝わりやすいようにカップ(1人分)で蒸す

これを守れば、おいしく作ることができます。

給食でありがちなのが、事前に粉を水分で溶いて準備をしてしまうこと。粉に水分を加えてから、加熱をするまでに時間を置いてしまうと、粉が水分を吸って、重たい生地になり、膨らまず、ベタベタとした仕上がりになってしまいます。

粉に液体を混ぜてからすぐに蒸したものはふっくら。30分以上経つと生地が重くなってしまいます。

 

 

 

 

 

 

(右から、生地を合わせてすぐに加熱、15後、30分後、1時間後に加熱。)

 

■乳幼児施設向け給食レシピ集「和給食」からレシピ紹介

米粉蒸しパンのレシピをご紹介します。上記の3つを守って、作ってみていただけたらうれしいです。

和風蒸しパン(あずき)

米粉 15g
ベーキングパウダー 0.8g
塩 適宜
豆乳 22g
油 2.5g
つぶしあん(砂糖添加) 12g

1 米粉、ベーキングパウダーをよく混ぜる。
2 豆乳、油、つぶしあんを泡立て器でしっかりと混ぜる。
3 1に2を加えて混ぜ、型に入れて「スチームモード100℃」で12分加熱する。

 

■さいごに

米粉は、日本人にとっては慣れ親しんだ味なので、「おいしさ」という点で優れています。

また、日常的に米粉が使われるようになれば、国内の食糧自給率が上がり、日本の食材の安定につながります。

もちろん、小麦アレルギーがある子どもがいる園は、誤食のリスクが大きく下がります。

 

新しい食材に挑戦することで、保育園給食の課題を解消できることがたくさんあります。

子どもの食事研究所では、今、大豆粉を使った、「天ぷら」のレシピ開発をしています。スチコンで作りたいと思い、悪戦苦闘しています。

研究所では、子どもの健康増進に役立てるよう、新しい食材、新しい調理法に挑戦していきたいと思っています。

 

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https://admcom.co.jp/book/wakyusyoku2.php
 

※ 食材の切り方や食材の個体差、時季など、また、ホテルパンに入れる分量などによって加熱温度や時間は異なります。必要に応じて中心温度を確認してください。

 
(2020年5月更新)